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映画 ダンケルク(2017英米仏蘭) [日記(2018)]

  ダンケルク [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [DVD] 1940年5月、フランスのダンケルクで行われた連合軍の撤退作戦(ダイナモ作戦)を描いた映画です。フランスに侵攻したドイツ軍は快進撃を続け、チャーチルはダンケルクに追い詰められたフランスとイギリスの将兵40万人を英本土に救出する作戦を発動します。ダンケルクの戦いは負け戦にもかかわらず、漁船、貨物船など多くの民間船が協力して兵士を救ったことで、イギリスが実質勝利したかの如く喧伝されることになります。映画は、この救出作戦を、イギリス兵、救出に加わった民間船、ダンケルク上空でメッサーシュミットと戦ったスピットファイアーのパイロットの陸、海、空の3つの視点で描いています。

【陸】
 陸軍二等兵トミー(フィン・ホワイトヘッド)は原隊からはぐれ、ダンケルクの海岸にたどり着きます。海岸では、救出を待つ将兵の集団と輸送船にドイツの爆撃機が襲いかかります。我先に輸送船に群がり未曾有の混乱に陥っているはずなのですが、そこは「並ぶ」ことが得意な英国人、浜辺で整然と隊をなし輸送船を待っています。
 並ぶことの好きな英国人とはいえ、なかには抜け駆けもあります。トミーはフランス兵とふたりで負傷兵を担架に乗せ傷病船に運び込むという奇策に出ます。傷病船を追い出されやっと潜り込んだ輸送船は魚雷に爆破され...と涙ぐましい脱出劇が繰り広げられます。

【海】
 遠浅の砂浜の続くダンケルク海岸は、大型の輸送船、駆逐艦が横付けできず、海軍は浜辺に接岸できる民間の小舟に助力を求めます。この要請に答えた一隻がドーソンと息子、自称落ちこぼれの高校生ジョージが乗り組む遊覧船。途中でUボートの襲撃に会って難破した兵士を救助します。イギリス本土に戻れという兵士に、ドーソンはダンケルクに行くことが国民の義務だと言い放つ愛国者。こうした愛国者のおかげで撤退作戦が成功したということのようです。

【空】
 三機のスピットファイアーが、撤退作戦を空から支援します(たった三機?)。一機は撃墜され、一機は海上に不時着してドーソンの船に救助されます。残る一機がメッサーシュミットと空中戦を演じ、撤退を脅かす爆撃機を撃墜しますが燃料切れで不時着。エンジンが停止し、ダンケルクの砂浜を滑空するスピットファイアーは幻想的です。

 チャーチルは3万人の救出を予想し、英海軍は4万人の救出を計画したダンケルク撤退作戦で、40万人近くの将兵が救助されます。こも撤退作戦によって英軍を駆逐したドイツ軍はパリを占領し、ド・ゴールはロンドンに亡命政権を建て、仏本土はヴィシー傀儡政権に統治されることになります。ナチのフランス支配は、1944年のノルマンディー上陸作戦まで続きます。

 第二次世界大戦でエポックともなったこの撤退作戦が、大したドラマもなく淡々と描かれます。戦争映画と言うより、地味なノンフィクションと言った方が相応しい映画で、『バットマン』で名を馳せたクリストファー・ノーランらしくもない作品です(スピルバークの『プライベート・ライアン』を意識した?)。戦争映画を期待するむきにはあまりお薦めできません。

 ダンケルクの戦いを描いたものに、アンリ・ヴェルヌイユ(1964、ジャン=ポール・ベルモンド主演)の『ダンケルク』があります。フランス側の視点で、崩壊した仏軍兵士とダンケルクの娘(カトリーヌ・スパーク)の恋が主題で、こちらの方が面白いかも知れません。

監督:クリストファー・ノーラン
出演:フィン・ホワイトヘッド トム・グリン=カーニー ケネス・ブラナー キリアン・マーフィー トム・ハーディ

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