澤田ふじ子 冬のつばめ(新選組外伝・京都町奉行所同心日記) [日記(2005)]
澤田ふじ子 冬のつばめ ★★
新撰組が徘徊する幕末の京都を舞台に、町奉行同心の捕り物帳。近藤勇以下新撰組隊士が端役で登場する一話完結の短編連作。いずれも哀感漂う下町人情もの。江戸を舞台にこの種の時代物は、「御宿かわせみ」を始め幾つかあるが、京都を舞台にしたものはめずらしい。江戸ものを読み慣れた身には、京都弁はちょっと違和感がある。
これが大阪が舞台であったら、どうなるのだろう。上方落語の世界に捕り物帳を持ち込んだ有明夏夫の「浪速の源蔵捕物帖」があった、西鶴の伝統が在るのだから大阪が舞台の捕り物帳がもっと出てもよさそうなものだ。もっとも、大阪が舞台となると下町情緒を通り越して落語の世界となりそう。以上余談。
背景でもある新撰組とストーリーが噛み合っていないので★2つ。俳句が鍵となる事件に、土方歳三の俳句趣味を配するのは、安直ではないか。赤穂浪士の討ち入りを背景にした同じ様な小説があったが、もっと良くできていたような覚えがある。
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