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kj法 [日記(2009)]

kj法
 川喜多二郎が亡くなって、kj法というか問題解決法について少し考えてみます。一応、同氏から直接教えを受けた遠い弟子です・・・笑。

 kj法はカードを使いますから、いわゆる京大式カードから派生したツールのひとつなんでしょう。ノートが時系列に配置された記録ですが、ノートと違ってカードはばらばらに分解できます。例えば、高校生が1週間の講義を1冊のノートに記入するとします。数学、現代国語、生物、日本史の授業が時間割に沿って記入されます(普通は教科毎のノートがありますが)。1週間経って、このノートをバラバラにして科目毎に編集する。乱暴に云ってしまえば、これがkj法の『手法』です。

 フィールドワークから生まれてきた手法ですから、その時々の現象を思いつくままカードに記入してゆきます。

1) いっぱいカードが溜まりますね。

2) このカードから似たもの、関係のある物をグルーピングします。

3) グルーピングした原カードの内容を抽象化し、親カードを作ります。
  ⇒この親カードに記載する文言の作成が問題で、子カードの中身を殺さないよう抽象化して表現しないといけなかったようです。
親カード.jpg

4) 親カードどうしを子カードとして更に親カードを作成します。
親カード2.jpg
 この手順を試行錯誤しながら繰り返してゆくことにより、一見バラバラであた事象の本質を掴もうというのがkj法です。kj法はひとりでコツコツやらず、グループでワイワイやることに特徴がありますが、やはり京大方式ですね。
kj法イメージ.jpg
こんなイメージです。

 kj法の本質は、【カード(事象)a】と【カード(事象)b】の『関係』から新しい【カードc(概念)】が生まれることではないかと思います。

 この関係性に注目した手法を、川喜多二郎と同じ東京工大教授の森政弘(ロボット工学)が提唱していました。

1) まず命題(問題提起)があります。

2) 命題からkeyワードA、B、Cを3つ派生させます。
森政弘1.jpg
3) AとBの関係から新しい言葉(概念)ABが発生し、BとCの関係からBCが発生します。
  これをこれを繰り返してゆきます。
森政弘2.jpg
4) また、派生したABを命題として新しい三角形を考えてもよいわけです。
森政弘3.jpg
 川喜多の手法は、一見無秩序な事象を組み合わせることによって、理論なり仮説なり問題解決法を導き出そうとする帰納法です。一方、森の手法は問題を真ん中に据え、そこから派生するものから問題の本質に迫ってゆこうとする演繹的な手法です。

 この森方式が気に入って結構仕事で使いましたが、企画書をまとめるには最適です。自分で気づかなかった見落としていた概念(言葉)が現れて、問題を多角的に検討・記述するためには有効な手法です。とくに、ひとりでシコシコやる時は、です・・・笑。

 パソコンのファイル管理はtree構造になっています。kj法は、フォルダを作ってファイルをtreeにまとめる作業に似ています。一見合理的なtree構造も、ファイルのの中身が複数の親フォルダと関係を持っている場合がありますが、この場合どちらのフォルダに格納するか迷います。以前zaurusでEbtというアプリケーションを使ったことがありますが、この問題の解決方法としてなかなか優れていました。

 私がkj法を習った頃は、紙のカードを模造紙(死語?)に張り付け、サインペンでグルーピングしましたが、エクセルを使って似たようなことができます。kj法はパソコンと親和性が高いので、kj法のアプリケーションが発売されていたと思います(kj法の商品化を巡って訴訟もあったような)。メモ用紙やカードの代わりにエクセルを利用すると便利です。

 kj法の教祖が亡くなられて、大変残念なことですが、パソコンを媒体として川喜多二郎の名が永く記憶されること願ってやみません。


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