映画 ワルキューレ(2008米) [日記(2010)]
『ワルキューレ』というと、映画ファンなら『地獄の黙示録』でワーグナーの『ワルキューレの騎行』をBGMに武装ヘリが飛ぶシーンを思い浮かべます。こっっちのワルキューレはヒトラー暗殺計画です。
第2次世界大戦下のドイツはナチ一色かというとそうでもなくて、ヒトラー暗殺計画は15回あったというのですから驚かされます。日本でも東条英機暗殺計画があったようですが、この回数は半端じゃないです。映画はこの暗殺計画の中で最期の『ワルキューレ作戦』を描いています。トム・クルーズが主演するのですからてっきり戦争アクションかと思ったのですが、さにあらず『実録もの』。これは期待を裏切られたというか、拾いものでした。
『ワルキューレ作戦』そのものは、予備軍(本国部隊)による内乱鎮圧のコードネームで、『ワルキューレ作戦』を利用した(予備軍の軍事力を利用した)クーデター事件が映画『ワルキューレ』の世界です。ドイツを破滅から救おうとする反ヒトラー勢力がヒトラーを暗殺し、『ワルキューレ作戦』を発動して第3帝国を一気に乗っ取ろうとした(そして失敗した)物語です。ヒトラーの暗殺は失敗しクーデターは不発に終わります。歴史として事実は分かっていてもこのクーデター計画はスリルに満ちています。
暗殺が実行されたのは1944年7月20日で、6月にはノルマンディー上陸作戦があり、8月にはパリが解放されていますから、クーデターは終戦工作の色彩が濃いものです。
<<反ナチ>>
・シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)・・・7/21銃殺
⇒伯爵、予備軍参謀長、予備軍副司令官フリードリヒ・オルブリヒト大将の部下。ヒトラー暗殺実行者で本編の主人公。
・ヘフテン中尉・・・7/21銃殺
⇒シュタウフェンベルク大佐の副官。
・トレスコウ少将(ケネス・ブラナー)・・・7/21自決
⇒暗殺事件の首謀者、
・オルブリヒト大将・・・7/21銃殺
・クイルンハイム大佐・・・7/21銃殺
オルブリヒト将軍の参謀長
・ヴィッツレーベン元帥・・・8/8ピアノ線処刑
⇒積極的に関与せず作戦の崩壊を早めた
・ベック大将・・・7/20自決
⇒クーデターのリーダー
・フェルギーベル大将・・・9/4処刑
⇒狼の巣の通信責任者。通信回線の切断に荷担、暗殺未遂を知り裏切る
・カール・ゲルデラー・・・1945年断頭台
⇒反ナチ活動家、クーデター後は首相を約束されていた。
<<中立>>
・フロム上級大将・・・クーデター関与を疑われ1945年銃殺
予備軍司令官、ワルキューレ発動を拒否し、シュタウフェンベルクに軟禁される。独断でシュタウフェンベルク大佐等を銃殺。
・レーマー少佐・・・1997年没
⇒警護大隊司令官、ヒトラー生存を確認し反乱を鎮圧。
冒頭に事実に基づいているという注釈が入りますが、派手なアクションは無いものの、歴史の重みと人間のドラマが交差するなかなかの一編です。ですが、トム・クルーズですか?。これはやはりドイツが撮るべき映画でしょう。
監督:ブライアン・シンガー
キャスト:
トム・クルーズ
ケネス・ブラナー
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