セルジオ・レオーネを見る 『続・夕陽のガンマン』

続 夕陽のガンマン アルティメット・エディション [DVD]

• 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
• メディア: DVD

（1966伊米　the Good, the Bad and the Ugly）

　セルジオ・レオーネの《三部作×2》を全部見ようと借りてきました。

『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』がヒットしましたから、今回は制作費をかけています。リー・ヴァン・クリーフに加えイーライ・ウォラックを起用し、南北戦争の戦闘シーンや大爆発とアクションも大がかり。シリーズも3本目となると普通失敗するのですが、さすがセルジオ・レオーネ、3本目が一番出来がいいです。出来がいいのは、制作費を使ったことよりイーライ・ウォラックを起用したことでしょう、この役者さんはデキます。イーライ・ウォラックが主役でクリント・イーストウッドとリー・ヴァン・クリーフが脇を固めているようなところもあります。

　冒頭、2,000ドルの賞金のかかったお尋ね者トゥーコ（イーライ・ウォラック）をブロンディ（クリント・イーストウッド）が捕まえて保安官に突き出します。トゥーコは当然縛り首。まさに縛り首になろうとするその時、ブロンディのライフルがトゥーコの首にかかったロープを切り、トゥーコは逃走します。ふたりは合流して2,000ドルを山分け。トゥーコとブロンディで組んで賞金稼ぎの詐欺を働いていたということです。“オレは命を張っているんだ、もっとよこせ”（トゥーコ）、“（ライフルの）手元が狂うこともある”（）ブロンディ、この関係が『続・夕陽のガンマンの』テーマでしょう。

　トゥーコの賞金が3,000$となったところで、ブロンディはトゥーコに見切りをつけて砂漠に放り出します。裏切りですね。

ブロンディに裏切られたトゥーコは、復讐のためブロンディを水と馬無しで砂漠に放り出すのですが、この時ふたりは瀕死の将校と出会い南軍が隠した20万ドルの金貨の話しを聞き出します。

　時代は南北戦争の真只中、トゥーコとブロンディの宝探しにこれも金貨を追うエンジェル（リー・ヴァン・クリーフ）が絡んで、三つ巴の戦いと騙し合いが始まります。

　トゥーコとブロンディのコンビが実にいいです。イーライ・ウォラックは、自分の首にかかった懸賞金をネタに自ら捕まっては逃げるという詐欺を働くような捨て鉢な悪党。しかもクリント・イーストウッドが助けてくれるという信頼関係があっての詐欺ですが、これもあっさり裏切られて悔しがるような何処か憎めない悪役。クリント・イーストウッドは前作同様クールでタフなこれも何処か憎めない悪役。このふたりが、20万ドルの隠し金貨を求めて騙したり騙されたり、信頼し合ったり裏切ったりの珍道中を繰り広げます。

　リー・ヴァン・クリーフは、前作『夕陽のガンマン』で妹の敵を探す賞金稼ぎのガンマンを演じ圧倒的な存在感を示しました。今回の『続・夕陽のガンマン』では20万ドルを追う非常な悪役を演じ、脇役としては過不足なくストーリーに絡みますが、今ひとつ存在感が希薄。最後は、クリント・イーストウッドにあっけなく殺され、エッそれだけ、みたいなところがあります。

　マカロニウェスタンの最高傑作じゃないかと思います。

　セルジオ・レオーネは『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』の成功でアメリカに渡り、 『続・夕陽のガンマン』で《ドル箱三部作》を完成させ、次いで《ワンス・アポン・ア・タイム三部作》を撮ります。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の完成後、レオーネは次回作としてレニングラード包囲戦を描いた戦争映画の製作を開始（Wikipedia）したらしいですが、脚本執筆中の1989年60歳で亡くなります。残念という他はありません。独ソ戦を描いた映画というと、ジャン＝ジャック・アノーの名作『スターリングラード』を思い出しますが、どんな映画になったのでしょう。

監督：セルジオ・レオーネ

音楽：エンニオ・モリコーネ

出演：

クリント・イーストウッド

リー・ヴァン・クリーフ

イーライ・ウォラック

《ドル箱三部作》

1964年 荒野の用心棒

1965年 夕陽のガンマン

1966年 続・夕陽のガンマン･･･このページ

《ワンス・アポン・ア・タイム三部作》

1968年 ウエスタン

1971年 夕陽のギャングたち

1984年 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ