映画 クリクリのいた夏 [日記(2010)]
(1999仏 LES ENFANTS DU MARAIS)
原題は『沼地の子供たち』。
カタツムリを捕って市場で売る話しが出て来ますから、舞台はエスカルゴの本場ブルゴーニュ地方かもしれません。会話にヒトラーの名が出て来ます。主人公のひとりガリスは戦争から復員してきたことになっていますから、時代は1920年代後半から30年代初頭の話しでしょう。
ガリスは、戦争から復員して故郷へ帰る途中、沼地に住む老人の最期を看取った縁で老人の家に住み付きます。ガリスは同じ沼地に住むリトンとその子供達がいたから沼地を去らなかったのだと告白していますが、ガリスが可愛がっているリトンの末娘がクリクリ。後年、年老いたクリクリが語る、リトン、ガリスを始め沼地に集う人々の思い出が『クリクリのいた夏』です。
リトン、ガリスは沼地の住人で定職というものも無く、森や沼地で獲ったカタツムリや鰻を市場で売ったり、街で臨時の仕事で稼ぐなど貧しい暮らしをしています。自由とは好きに使える時間を持つことだと、アメデが本の一節を引用しますが、リトンとガリスは貧しいが自由で誇りを持って生きています(リトンは怪しい)。
沼地にふたりを訪ねる街の住人がアメデとペペ。アメデは、定職も家族もなく、音楽と読書に明け暮れる不思議な自由人。ペペは元沼地の住人で、街に出て財を成した資産家の隠居。家業を息子に譲り、家では家族に煙たがられる偏屈老人で、沼地の生活を懐かしがっています。
この4人が織りなす友情がストーリーの柱となり、ガリスの実らぬ恋や、リトンの引き起こすちょっとした事件などがあって、クリクリの一夏が始まって終わるという淡々とした映画です。フランスで大ヒットしたようですが、人々の郷愁をかき立てるあたりがヒットの要因でしょう。アクション映画に疲れた目には、まことに新鮮に映ります、お薦め。
アメデを演じたはアンドレ・デュソリエは『あるいは裏切りという名の犬』にも出ているようで、『アメリ』の語りもやっています。フランス人の俳優というと、日本にはあまり聞こえてきませんが、4人とも名だたる役者のようです。
左から アメデ、リトン、ガリス、ペペ
監督:ジャン・ベッケル
ジャック・ヴィルレ
ジャック・ガンブラン
アンドレ・デュソリエ
ミシェル・セロー
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