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読書 奥泉 光 坊ちゃん忍者幕末見聞録 [日記(2010)]

坊ちゃん忍者幕末見聞録 (中公文庫)
 奥泉 光には、漱石の猫をパロディとした『「吾輩は猫である」殺人事件』があります。猫の次は『坊ちゃん』で、国民的小説これはもう定石ではないでしょうか。『坊ちゃん』『忍者』『幕末見聞録』ですから、忍者の坊ちゃんが幕末に活躍するんだろう、と期待して読んだのですが、新撰組も薩摩も長州も坂本龍馬だって登場し、それはまぁそうなのですが、何処が『坊ちゃん』なんだ!。

 坊ちゃんは江戸っ子で気が短いわけですが、この『坊ちゃん忍者』は生まれは庄内藩、忍者ですからけっこう耐え『忍』ぶことも出来て、気が短いかと言うともありません。東京から松山中学に赴任するかわりに、庄内の田舎から、医者を目指して京都に上るわけです、ウン?。
 『坊ちゃん』ですから、赤シャツとか野ダイコとか山嵐相当の配役で、歯切れのよい啖呵と勧善懲悪を期待するのですが、沖田総司も土方歳三も伊藤俊輔も登場しますが、どうも勝手が違う・・・。

 奥泉 光ですから、普通の『幕末見聞録』とはなりません。主人公の『坊ちゃん忍者』は、四条河原町で一瞬にして現在にタイムスリップするんです。大丸百貨店に入っていってブランド売場をのぞいたり今出川の『ほんやら洞』に龍馬と連れだって入り、珈琲をブラックで飲んで『あまりの苦さに吐き出しそうになったとたん、目が覚めた』とか宣うわけです、なんじゃこれ!。時空が交差するのはいいんですが、『「猫」殺人事件』のように結末を付けていただけると有り難いんですが、いきなりタイムスリップしてもねぇ。


 後書きで『機会があれば、是非とも続編を書いてみたいとの希望を持っている。』作者も書いていますが、これで終わったんでは、入場料返せと言われかねませんねぇ。

よって久々の ⇒★★

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