映画 シンデレラマン(2005米) [日記(2010)]
実在のボクサー、ジェームス・J・ブラドックの実話に基づいた映画だそうです。このブラドックですが、1929年にライトヘビー級のチャンピオン戦で破れ、その後は下降の一途。三人の子供をかかえ、電気まで止められる極貧の生活にまで落ちぶれます。ストーリーは、このどん底のブラドックがチャンスをつかみベビー級チャンピオンになるまでの2年間を描いています。
映画の舞台1934年は、ナレーションも入りますが、世界恐慌から4年不況真っ只中。右手の骨折をおして出た試合も、試合没収でファイトマネーは貰えずライセンスまで剥奪される始末。不況で仕事は無く、ミルクを薄めて飲み、電気は止められ、子供達は親戚に預けるまでに困窮します。子供と一緒に生活するため、支払いの滞った44ドルを求めて生活援護局や昔のボクシング仲間に頭を下げて回るシーンは、ラッセル・クロウのあのちょっとはにかんだ演技で胸に迫ります。
ブラドッグの困窮を見かねた元マネジャーの誘いで、チャンピオン戦の前座を1回だけという約束で試合に出ますが、これが大化けに化けて勝利。港湾労働で、骨折した右手をかばって働く間に鍛えられた左のパンチが炸裂という嘘のような話し(かどうかは?)。それからは勝利の女神が微笑む連勝に次ぐ連勝。30歳のトウのたった子持ちの中年ボクサーが、生活を賭けて戦うわけですから、見ている方も映画と分かっていながら応援するアホらしさ。事ほどサヨウに、男心をくすぐる映画です。
ベビー級チャンピオン戦の15回、優勢に進めてきた試合ですから、相手のパンチを逃げて時間を稼げば勝利となるんですが、最後まで勝負を捨てず相手の懐に飛び込んでパンチを繰り出します、男ですねぇ。
このシンデレラマンを支えるのが妻(レニー・ゼルウィガー)と幼い3人の子供。妻子を愛し狩りに出かけるようにリングに立つわけですから、もうアメリカの理想の父親像でしょう。
ボクシング映画と云うと『ロッキー』『ミリオンダラー・ベイビー』が思い浮かびますが、陰影の強いボクシングというスポーツの光の部分を描いています。
パンチが炸裂し、汗が飛ぶボクシング・シーンは迫力満点。役者というのは肉体労働だということが分かります。ラッセル・クロウですが、演技派とは云え何でもやりますねぇ。
監督:ロン・ハワード
出演者:ラッセル・クロウ、レニー・ゼルウィガー ポール・ジアマッティ
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