映画 ジョーズ(1975米) [日記(2010)]
何度目かの『ジョーズ』です。35年経った現在でも十分楽しめることに、今更ながら驚きます。
そのひとつがサメという原初的な恐怖です。水面を背びれだけが動く恐怖は、想像力がかき立てる恐怖の典型です。
もうひとつは、サメがもたらすパニックとそれに踊らされる人間の愚かしさです。海開きを控えてサメの被害を隠そうとする市長、優柔不断から犠牲者を増やしてしまうブロディ署長、何処にでもいそうな人々の誰でも犯しそうな失敗がリアルに描かれています。
三つ目は、『老人と海』『白鯨』の伝統的な米国文学を彷彿とさせる設定です。サメに対する異常な憎しみを抱く漁師クイント、海洋学者で鮫の研究者フーバーは、モビー・ディックを追うエイハブ船長の一族でしょう。この3つが『ジョーズ』に単なるパニック映画を超えた普遍性を与えているのはないでしょうか。
NYを逃げ出して?25年殺人事件の起きない島に赴任したブロディ署長(ロイ・シャイダー)、太平洋戦争でサメに襲われた経験からサメ狩りの漁師となったクイント(ロバート・ショウ)、これもサメに襲われたことが原因で研究者となり、自費で研究船まで建造したフ-バー(リチャード・ドレイファス)と、生まれも育ちも違う3人がサメと闘うことで出会い、運命を分かつストリーは、パニック映画を超えた人間ドラマとしても面白いです。と云うより、見れば見るほどこの三人の個性と三人が織りなすドラマが映画を光らせています。
リチャード・ドレイファスはこの後未知との遭遇にも出演しますが、サメやUFOに夢中になる(フロンティア精神?)米国人の典型をユーモラスに演じます。ロバート・ショウ、存在感たっぷりです。それこそ『白鯨』エイハブ船長も十分に務まります。1978年に亡くなっていますが、惜しまれます。ロイ・シャイダーは『2010年』『フレンチコネクション』とかシリアスな映画の俳優だと思っていましたが、ブロディ署長のとぼけた味もまたうまいですね。
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ロイ・シャイダー ロバート・ショウ リチャード・ドレイファス
2010-11-21 09:25
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12/9 リチャード・ドレイファスは、サンフランシスコでクラシック音楽の演奏会に、ナレーターとして出演する.....
http://www.sfsymphony.org/Buy-Tickets/2018-19/Peter-and-the-Wolf.aspx
Christian Reif
Conductor
Richard Dreyfuss
Narrator
San Francisco Symphony Youth Orchestra
by サンフランシスコ人 (2018-11-28 04:05)
「ピーターと狼」ですか。なかなか味のある俳優さんです。
by べっちゃん (2018-11-28 09:12)
リチャード・ドレイファス主演の『コンペティション』(1980年)を思い出しました.....
by サンフランシスコ人 (2018-11-29 03:22)
『未知との遭遇』『ジョーズ』を見ていると、元祖オタクという雰囲気の俳優ですね。
by べっちゃん (2018-12-02 14:21)