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映画 パーフェクト・ワールド(1993米) [日記(2011)]

パーフェクト ワールド [DVD] 監督がクリント・イーストウッド、主演がケヴィン・コスナーという大スターの組み合わせです。大体こういう組み合わせは駄作だろうと思ったのですが、以外や以外、面白いです。

 ブッチ(ケヴィン・コスナー)とテリーのふたりの囚人が脱獄します。民家に押し入り、近隣に騒ぎ立てられた為その家の8歳の少年フィリップを人質に逃亡を図ります。主人公ですから当然観客に支持されるキャラクターでないと話が進まないわけですが、ブッチはどうして刑務所に入ったんだろうというほどまとも。一方、引き立て役のテリーはさながら狂犬(早々と殺されますが、このテリーを演じた役者さんはなかなかうまいです。声がいい)。

 フィリップを連れたブッチの逃亡劇がストーリーの中心で、このふたりに年の差を超えた奇妙な友情が生まれるところがミソです。ブッチを追う警察署長にクリント・イーストウッド、ブッチと警察署長の関係を解説する役がローラ・ダーンという枠組みです。
 この誘拐犯と人質の交流はよくある話で珍しくはありません。最後に人質は救出され犯人が撃ち殺されことは想像できます。筋書きの予測できる映画のどこが面白いかというと、誘拐犯ブッチと人質フィリップの友情の描き方でしょう。まず、ふたりとも父親がいません。父親に捨てられた境遇でふたりは連帯します。

 フィリップの設定が秀逸です。フィリップの一家は『エホバの証人』の信者で、教義上クリスマスやハロウィンが認められず、フィリップはアメリカの少年なら誰もが心ときめくこれらの行事から閉め出されているわけです。冒頭で、ハロウィンのコスチュームを付けた少年たちがお菓子をもらいにフィリップの家を訪れますが、母親は教義を理由にハロウィンに関わりません。この辺りの設定は、日本人には少し分かりにくいですが、アメリカ人なら一発でフィリップの設定が読めるのでしょう。

 この『エホバの証人』が災いして、フィリップはお祭りの綿飴も遊園地のジェットコースターも知らないことが明らかにされ、ブッチはジェットコースターを体験させようとフィリップを車の屋根に乗せて走ります。
 途中で立ち寄った店で、フィリップはハロウィンのオバケのコスチュームを万引きし以後この衣装で過ごします。食料を調達するために、このハロウィンの衣装でブッチと強盗を働く辺りは、演出の冴えです。

 全編、クリスマスやハロウィン、祭りの綿飴も遊園地のジェットコースターも知らないフィリップと、それを教えるブッチの『父と子』の物語です。ふたりが目指すのがパーフェクト・ワールド、アラスカ。このアラスカも、ブッチの父親が住んでいて、遊びに来ないかと絵はがきを貰ったからです。当然、アラスカにはたどり着けませんが、たどり着けない理由も父(ブッチ)を思う子(フィリップ)の愛情の故でしょう。フィリップはブッチを撃ってしまうんです!

 クリント・イーストウッドはどうなったかと言いますと、これもブッチと『父と子』の関係明らかにされ、ラストで『父と子』が対面します。

 分かりやすくて楽しめる映画です。細部まで計算された演出は、クリント・イーストウッドの作品の中でも三本の指に入ります。最近はなかなかお目にかかれないケヴィン・コスナーも輝いています。ローラ・ダーンは『ジュラシックパーク』『遠い空の向こうに』のローラ・ダーンです。おすすめ!。

監督:クリント・イーストウッド
出演:ケヴィン・コスナー クリント・イーストウッド ローラ・ダーン

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