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映画 画家と庭師とカンパーニュ(2007仏) [日記(2011)]

画家と庭師とカンパーニュ [DVD] 監督が『クリクリのいた夏(1999)』『ピエロの赤い鼻(2003)』のジャン・ベッケル、主演が『あるいは裏切りという名の犬』のダニエル・オートゥイユ。そういうつながりで見ました。『ピエロの赤い鼻』はたいへん分かり易い映画だったのですが、この映画にはストーリーらしいストーリーはなく、ドラマもありません。
原題のDialogue avec mon jardinierを自動翻訳にかけると『庭師との会話』。タイトル通り、数十年ぶりに出会った画家と庭師の会話を通じて、人生の機微を描いています。

 画家がパリから生まれ故郷の田舎に帰ってきます。奥さんとの離婚問題を抱えちょっと疲れたという設定です。自分でも言ってますが、絵を描き終わるとそれまで何とも思わなかったモデルについ・・・という癖が直らず愛想を尽かされた様です。まぁ自業自得でしょう。
 生まれ育った家に住み、亡くなった母親が育てていた家庭菜園を復活しようと庭師を募集したところ、やって来たのが幼なじみの庭師だったいう設定。

 庭師は、国鉄の線路工夫を定年まで勤め上げ庭師になったという、どちらかというと悠々自適の身。画家も自由業ですから、このふたりが子供の頃に戻って庭いじりや釣りに精を出し、木訥な庭師の人生の智恵みたいな箴言がいたるところに散りばめられた映画です。牧歌的かと云うとそうでもなくて、
画家と庭師の家族の状況が会話に出てきて、ふたりとも人生の垢みたいなもにもまみれていることが分かります。画家の娘が恋人をつれて田舎の家を訪れるのですが、この恋人というのが30歳も歳の離れた作家と同年代。庭師は庭師で、娘婿が失業して娘から泣きつかれていたり・・・云々。
 庭師は毎年奥さんを連れてニースへ2週間旅行します。毎年同じホテルの同じ部屋に泊まり、同じ海岸通りを散歩し同じベンチで憩うという話しと映像が挟み込まれます。こうした心が暖まったり暖まらなかったりするエピソードがこの映画を支える重要なパーツです。

 映画を支えるもうひとつの重要なパーツが『死』です。冒頭で、『死に神の鎌』の如く草刈り鎌のエピソードが描かれ、ふたりの共通の知り合いの葬儀があり、釣りのシーンで鯉を死に神になぞらえます。避けて通れない『死』を、哀歓豊かに描いた辺りがこの映画の真骨頂でしょう。庭師は、彼の奥さんの肖像画と彼が好んだものを題材に画家に絵を依頼します。この絵の展覧会が盛況で成功するシーンで幕となります。当然、ナイフと紐の絵も出てきます。そのナイフと紐が会場で活躍するあたりは、絵になっています(笑。

 ダニエル・オートゥイユは『あるいは裏切りという名の犬』で強面のパリ警視庁の刑事を演じていましたが、この映画では一転人の良さそうな画家です。庭師の奥さんを演じるヒアム・アッバスですが、何処かで見たことがあると思ったら『扉をたたく人』に出ていました。ジャン=ピエール・ダルッサンは今回初めだと思ったのですが『ロング・エンゲージメント』に出演していた様です。ジャン・ベッケルのお父さんが『モンパルナスの灯』のジャック・ベッケルだそうです。

画家と庭師.jpg 画家と庭師2.jpg
  画家と庭師

画家と庭師1.jpg 画家と庭師3.jpg
ちょっとした遊び                   ナイフと紐

監督:ジャン・ベッケル
出演:ダニエル・オートゥイユ ジャン=ピエール・ダルッサン ヒアム・アッバス 

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ktm

この映画、なんとなく好きです。
ニースの海岸通り、イギリス人の散歩道(プロムナード・デ・ザングレ)を昨年、歩いてきました。
やはりまた行きたくなる気持ちにさせるところです。

by ktm (2011-01-19 00:40) 

べっちゃん

ktmさんはいろんな所に行っておられるんですね。これと言ってドラマは無いんですが、『なんとなく好き』になる映画です。

by べっちゃん (2011-01-19 07:53) 

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