映画 ぼくセザール10歳半 1m39cm(2003仏) [日記(2011)]
大人のための子供映画?。10歳半 1m39cmちょっと太めのセザールの巻き起こす騒動を描き、大人の世界を面白おかしく風刺しています。この手の映画はけっこうあると思いますが、フランス風エスプリを効かせればこうなるんです。
このセザールですが、甘いものには目が無く太めで運動音痴、可愛いわけでもなく当然純真無垢でもなく、何処にでもいるちょっと小憎たらしいガキです。このセザールが、ドジを踏んだり同級生の女の子に惚れたり性に目覚めて女性の研究を始めたり・・・笑わせます。セザール目線で周りの大人を見るわけですが、大人をセザールの地平に引きずり下ろして観察するとなんとも胡散臭く珍妙なものです(我ながら)。
主人公は、セザール、親友のモルガン、セザールが恋するサラの三人で、このトリオが周りの大人を巻き込んでのドタバタがストーリーの中心となります。面白いのは三人の家庭環境です。両親が揃っているのセザールだけで、モルガンは父親の顔も知らない母子家庭、サラの両親も離婚。サラの父親は新しい恋人と目下同棲中で、休日にはサラやセザール、モルガンを自宅に招待したりで、こうした親子関係があっけらかんと描かれます。離婚した父親が子供のために云々という設定の映画が多いですが、『ぼくセザール・・・』は逆に、モルガンの父親探しがストーリーの枠組みです。
父親を捜しにロンドンまで行きます。モルガンの父親はイギリス人で、ロンドンで父親探しの中心となるのは英語の話せるサラ。サラの母親はアメリカ人と国際色豊です。パリ→ロンドンはドーバー海峡の海底トンネルを使ってユーロスター、通貨はもちろんユーロで、出国も入国もなんかいいかげん(セザールは査証持っていなかった)、さすがユール圏です。さらに探し当てた父親には家庭があって、奥さんはアフリカ人で子供は混血。コンゴやコートジボワールとかアフリカには旧植民地がたくさんあったフランスならではでしょうか。
どうでもいいのですが、セザールが小学校の授業で詩の暗唱を披露します。この詩がボードレールの『信天翁(アホウドリ)』!、フランスでは小学校で『悪の華』を教えるんですかねぇ、まさか。これもエスプリなんでしょう。
もうひとつ、モルガンを演じるマボ・クヤテ君ですが、『薬指の標本』で小鳥の骨の標本を依頼する靴磨きのアフリカ人を演じたソティギ・クヤテの息子さんだそうです、へぇ~。
さらに、セザールのジュール・シトリュク君ですが、『コーラス』『幸せはシャンソニア劇場から』のジェラール・ジュニョと『パティニョールおじさん』で競演しているようです。これも見ないといけません。
ともかくも面白いです、お薦め。
監督:リシャール・ベリ
出演:ジュール・シトリュク ジョセフィーヌ・ベリ アンナ・カリーナ
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