映画 ドライビング Miss デイジー（1989米）

　 この映画が見たくて探していたのですが、近所のショップにも無くディスカスはずっと貸出し中、NHKが放映してくれたのでやっと見ることができました。だてに受信料取っているわけではありませんね。

　別に名画というわけではありませんが、80歳でオスカー主演女優賞を獲ったというジェシカ・タンディを見てみたかったわけです。

　映画としてはドラマがあるわけでも無く、75歳の未亡人デイジー（ジェシカ・タンディ）と彼女の運転手ホーク（モーガン・フリーマン）の25年に亘る交流を淡々と描いただけのものです。映画に、ドラマやアクション、アメージングを求めるとすれば、たぶん途中で寝てしまいます（笑。

　デイジーが運転を誤って車を燐家に突っ込んでしまったシーンから始まります。もう運転は無理だろうとデイジーの息子ブーリー（ダン・エイクロイド）は専属の運転手ホークを母親の元に送込みます。
　たぶんこの映画の重要な点だと思うのですが、デイジーは豊かなユダヤ人でホークは黒人、舞台となるのはジョージア州アトランタ（=南部）。映画の中で、道ばたに駐車したデイジーの車を不審に思った警官が尋問するシーンがあります。デイジーの車が去った後ふたりの警官がつぶやきます、「ユダヤの婆さんと黒人の爺さん、最悪の組み合わせだ...」。
　「キリスト教　云々」という言葉がデイジーの口から出ますが、デイジーはユダヤ教なのでしょう。デイジーは最初、息子が手配した運転手をかたくなに拒みます。「成り上がり」のユダヤ人がお抱え運転手の車で出かける、という世間体を気にしたわけです。
　道ばたに車を止めて用を足そうとするホークを、デイジーが詰るシーンがあります。ホークの答えは、ガソリンスタンドは黒人にトイレを使わせないからだ、というものです。

　アメリカの南部で、ユダヤ人と黒人が信頼関係を築くことは如何なることなのか、そういう映画なのでしょう。深刻ぶること力むことも無く、デイジーとホークが老いてゆく25年は、生い立ちも宗教も人種も異なるふたりが、お互いを認め合うと云う当たり前の関係を築く25年です。
　認知症を発病し老人ホームに入った90歳のデイジーを、運転手を辞めこれも老人となったホークが訪ねるシーンは、感動的です。ここでは、「老い」というものが人生にもたらす充足感を、見る者に感じさせます。これこそ、ジェシカ・タンディの名演技なのかもしれません。

　おそらく、アメリカでしか成立し得ない映画かもしれません。

 

 

 

　ヒッチコックの「鳥」で若き日のジェシカ・タンディにお目にかかれます。「コクーン」「ガープの世界」、この「ドライビング Miss デイジー」で見せる（失礼ながら）老婆の品格は超一流です。
　もうひとり、デイジーの息子ブーリーを演じたダン・エイクロイドです。この人は「ゴースト・バスターズ」でも有名ですが、「ブルース・ブラザーズ」でジョン・ベルーシとコンビを組んだエルウッドがもう最高です。

　
　鳥　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　デイジー

　
ルース・ブラザーズ（左がダン・エクロイド）　　　　ブーリー

監督：ブルース・ベレスフォード
出演：ジェシカ・タンディ　モーガン・フリーマン　ダン・エイクロイド

コメント 4

この映画、
何がどうというのはないのですけど、好きです。

どうしてだったかは思い出せないのですけど、二人が車で遠出する話があったと思います。 その小さな旅がいろいろな意味でアメリカを感じさせてくれます。

この映画からモーガン・フリーマンを良く見るようになった気がします。

by ktm (2012-02-26 10:50) 

そうですね、何も起こらないし、声高に主張があるわけでもないですが、こういうアメリカがあったんだろうし今もあるんでしょうね。
by べっちゃん (2012-02-26 11:52) 

モーガン・フリーマン良いですね。　好きな俳優の１人です。　渋さがとっても良いです。　この映画まだ見ていないのでDVD借りてみてみます。
by ja1nuh (2012-02-26 17:18) 

モーガン・フリーマンは、何と言っても「ミリオンダラー・ベイビー」ですね。「ドライビングMissデイジー」は是非見て下さい、ジェシカ・タンディとの掛け合いが魅力です。
by べっちゃん (2012-02-26 17:34)