映画 黄色い星の子供たち(2010仏) [日記(2012)]
タイトルが「黄色い星の子供たち」ですから、ジャン・レノが登場するファンタジーか何かだと思っていました。原題はLa Rafle(仏)、The Round Up(英)で、netで翻訳すると rafle=襲撃、急襲、round up=かき集める、狩り出すと出ます。原題通り、ナチによるユダヤ人「狩り」というファンタジーどころか恐ろしい映画でした。
子供の登場するホロコーストと云うとロベルト・ベニーニの「ライフ・イズ・ビューティフル」を思い出します。「ライフ・イズ・ビューティフル」は泣きませんでしたが、「黄色い星の子供たち」には目頭が熱くなります。ホロコーストに子供を絡ませるのは、だいたい「卑怯」です、だれでも泣きます。当時、ユダヤ人を区別するために6歳以上のユダヤ人には胸に黄色い星の縫い取りを付けさせたんですね。よって「黄色い星の子供たち」です。
黄色い星の子供たち 看護師アネット
ナチスのフランス占領時代にはナチスに迎合するヴィシー政権が成立しています。このヴィシー政権下で、フランス警察はユダヤ人を狩り集め収容状に送るというホロコーストの片棒を担がされたわけです。この映画は、1942年に屋内競輪場に「狩り集め」られたユダヤ人とその後を、「黄色い星の子供たち」を中心に描いています。
「レジスタンス」と云えばフランスのナチスに対する抵抗運動の代名詞であるように、占領下のフランスでは激しい抵抗運動がある一方、ナチスに協力した人々が沢山いたわけです。ユダヤ人であるというだけで、同国人を狩りたてガス室に送り込む警察は、国家の主権が簒奪されるという悲劇の象徴かもしれません。さらにもう一方、当時のパリのユダヤ人23,000名のうち10,000名は市民に匿われ難を逃れたとキャプションが入ります。ユダヤ人を狩り立てる警察官も現実なら、10,000人を匿った市民の存在もまた現実です。
後者の代表が赤十字から派遣された看護師アネット(メラニー・ロラン)でしょう。囚われた子供たちを献身的に看護しますが、彼女の努力は報われず、結局子供たちはポーランドの収容所へ向かう貨車に乗せられます。そして、この映画が描くのはユダヤ人もナチスも民族浄化も与り知らないところで生きている子供たちです。たったふたりですが、看守の眼を逃れて収容所を脱走し、ホロコーストを生き延びます。もうひとり、おそらく人の好意によって辛くもホロコーストを生き延びた幼いノノが、アネットと再会するシーンには泣かされます。大人は悪魔にも天使にもなることができますが幼い子供は常に天使です、胸に黄色い星の縫い取りの入った天使です、と云う映画でしょうか。
監督:ローズ・ボシュ
出演:メラニー・ロラン ジャン・レノ シルヴィー・テステュー ガッド・エルマレ
競輪場のことは映画「サラの鍵」で知りました。「黄色い星の子供たち」はつたやで昨日手に取ったDVDですが、つらくて先延ばしにしてしまいました。
by 月夜のうずのしゅげ (2012-06-30 13:33)
この手の映画に子供を据えると、どう描いても泣ける映画となります。ホロコーストは、もう十分と言う気がしないでもありません。
by べっちゃん (2012-06-30 16:42)
学生時代に読んだ「夜と霧」が今も本棚にあります。
by k_iga (2012-06-30 18:56)
大昔ですが、私も読みました。あれは凄かったですね。
by べっちゃん (2012-06-30 20:00)