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映画 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011米) [日記(2012)]

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)
 原題 はExtremely Loud & Incredibly Close。「リトル・ダンサー」「めぐりあう時間たち」「愛を読むひと」のスティーブン・ダルドリーの第4作です。出す映画出す映画各賞にノミネートされ、「めぐりあう時間たち」ではニコール・キッドマン、「愛を読むひと」でケイト・ウィンスレットに主演女優賞をもたらしています。次作を期待してしまう監督のひとりです。

 「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」という不思議なタイトルのこの映画は、9.11で父親を失った少年の物語です。同時多発テロ事件から受けたダメージから人々はどのように立ち直ったのか?、事件から10年、巨匠?ダルドリーが描く喪失と再生の物語です。
 オスカー少年(トーマス・ホーン)の父親(トム・ハンクス)は2001年9月11日にツインタワーで亡くなります。遺体は見つからず、空の棺で葬儀は営まれます。父親を失ったオスカーは、現実を受け入れることが出来ず、おそらく必死になってこの1年を乗り切ったのだと思われます。父親のクローゼットで、オスカーはBlackと書かれた封筒に入っていた鍵を発見し、天啓のようにこの鍵の合う鍵穴を探す決意をします。鍵を開ければ父親がオスカーに託したメッセージがあることを確信し、父親を失った喪失感を埋めることが出来ると、「鍵穴を探し」を始めます。
 
 オスカーは封筒に書かれたBlackを手がかりに、NYの5区を回って472人のBlackさんを訪ね、この鍵に合う鍵穴を探します。デイパックにガスマスク、パニックを押さえるタンバリン、双眼鏡、パパが読んでくれたホーキングの本、パパのパパのカメラ、大好きなイチジクのお菓子を詰め込んで、NYの人の砂漠に乗り出します。ガスマスクと「パニックを押さえる」タンバリンというのがオスカーの心の象徴です。当然、472人のBlack氏、Blackさんの対応はまちまちで、暖かく迎え入れてくれる人、怒鳴りつけて追い払う人、様々。見知らぬ少年が突然訪ねて来て、ぼくのお父さんを知っているか、この鍵が合う鍵穴を知らないか、というわけですから、聞かれた方は驚きます。帰れ!も仕方がないと思います。こうした帰れ!にもめげずオスカーの冒険は続きます。

 失声症(と云うみたいです)のジイさん(マックス・フォン・シドー)が登場します。オスカーのオバアさんの家に同居している間借り人。間借り人と言ってますが実の祖父で、オスカーの「鍵穴探し」に同行するようになります。失声症ですからオスカーの手助けはできないわけで、オスカーの話し相手、もしくはボヤキの相手です(ジイさんの方はメモ用紙に書いて会話をします)。ジイさんはドイツ人で、第二次大戦の大空襲で家族を失い失声症に陥ったらしいのです。唐突に出現して、オスカーと「鍵穴探し」をっして消えてゆく人物ですが、突然の厄災と家族を無くして声を失ったこのジイさんは、オスカーが失ったもののメタファーです。

 ついに「鍵穴」にたどり着きます、そしてオスカーが発見したものとは...。

 最後に明かされますが、この「鍵穴探し」にはワケがあります。事件当日ワールド・トレード・センターに出かけていた父親は、事故にあい6度にわたって自宅に電話を入れています。家族は不在で留守電に声を残しただけですが、6度目の電話があった時、実はオスカーは自宅にいて父親の電話にでることが出来たのです。オスカーは、すくんでしまったかなにかの理由で電話に出ることが出来なかったのです。「誰か出てくれ」という父親の最後の望みに応えられなかったという負い目を抱えています。この電話で父親が言いたかった言葉を求めて「鍵穴探し」を続けるわけです。
 ある日突然降りかかった厄災で最愛の人を失った人間は、どのように心の平安を取り戻すのか。日本の3.11をはじめ、世界には無数のオスカーが存在します。

 奇妙なタイトル、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」です。これはオスカーがブラックさんを尋ねた記録、スクラップブックの標題でもあるんですが、どういう意味なんでしょう。

監督:スティーブン・ダルドリー
出演:トム・ハンクス トーマス・ホーン サンドラ・ブロック マックス・フォン・シドー

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