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マイクル・クライトン タイムライン(1999) [日記(2012)]

タイムライン〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
 マイクル・クライトンは大昔に『アンドロメダ病原体』、映画化された時に『ジュラシック・パーク』を読みましたが、最早忘却の彼方。映画の『タイムライン』はもうひとつだったのですが、“中世”にタイムスリップするというのが趣味に合っているので読んで見ました。何しろアメリカでは150万部のベストセラーらしいです。

 中世の修道院跡の発掘現場から、遠近両用メガネのレンズが発掘され、"HELP ME"と書かれた羊皮紙が出てきます。この発掘に資金援助をしているのが、MIRの部品や考古学の年代測定装置を開発している量子物理学のハイテク企業。考古学と量子物理学がタイムトラベルで繋がるという「SF歴史活劇」です(笑。

 遠近両用メガネのレンズが14世紀の修道院跡から出てくるわけはないので、誰かが落としたんだろうということになるわけですが、レンズに付着している黴はどうも600年の経過を伝えるようで、"HELP ME"はこの発掘現場の責任者ジョンストン教授の筆跡で、インクの年代測定から14世紀に書かれたものだと判明します。この眼鏡のレンズはどうやら同教授のものらしい。どうなってるんだ!と胸が躍るかというと、映画を見ているのでいまいちワクワク感がありません(笑。
 じゃぁ教授に聞けばいいんですが、教授は米国にあるスポンサーの会社に出張中、ここはフランスという設定です。発掘現場がこのミステリで盛り上がっているところに、スポンサーの社長から電話が入り教授に緊急事態が生じたからすぐアメリカに飛んで来いというのです?
 実は、時間旅行に出発したまま帰ってこない教授の救出をして欲しいというものです。出ました、タイムトラベル!。

 冒頭、マイクル・クライトンが言い訳をしています。1899年に携帯電話やCPUチップは荒唐無稽の笑い話に過ぎなかったが、100年後の1999年には現実のものなっている。2099年には、荒唐無稽と思われるこの物語のような出来事が実現されている可能性十分あると。恐竜の血を吸った(琥珀に閉じ込められた)蚊から恐竜を生み出したクライトンですから、時間旅行などお手のものでしょう。

 さてタイムトラベルの原理なんですが、"量子の泡から生まれるワームホールを広げて利用する時間旅行"らしいのですがさっぱり分かりません。ワームホールを通して量子コンピュータを使って圧縮をかけた人間の全情報を送り、送った先(過去)で復元するんだそうです。jpegの圧縮技術を例に説明していますが、それってクローンじゃないですか?、過去で復元できるなら現在でも復元可能なはずです。というツッコミを回避するためか、転送するには現物が必要で、人間を原子か何かのレベルまで小さくして送るんだそうです。もう怪しさ満点のタイムトラベルです。転送された世界は、パラレルワールド(エヴェレットの多世界解釈)だそうで、過去も未来もナンデモアリの世界。タイムパラドックスも考える必要がありません。

 量子力学と何の関係もない大学院生が歴史学の教授を探す話ですから、気が楽です。早い話が、中世を舞台にした冒険活劇、これならついて行けそうです。

 つまるところ、云うところの中世騎士物語です。となると悪代官と美女と相場が決まってますが、きっちり登場ます。

タグ:読書
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コメント 2

k_iga

マイケル・クライトンはずいぶん読みました。
なかなか興味深い人生を送った人ですね。
by k_iga (2012-10-05 20:44) 

べっちゃん

『ジュラシック・パーク』は、映画→小説だったんですが、映画は衝撃的でしたね。
by べっちゃん (2012-10-05 20:53) 

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