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BSシネマ 12人の優しい日本人(1991日) [日記(2013)]

12人の優しい日本人【HDリマスター版】 [DVD]
 ピーター・フォンダの名作『十二人の怒れる男』のパロディーです。元ネタは、舞台を裁判所の会議室に限定し、12人の陪審員が少年の父親殺しを裁くというものです。少年を裁くと云う行為によって、12人の陪審員ひとりひとりの過去が浮かび上がってくるという構図が面白いわけです。2007年にロシアでリメイクされています。ロシア版は、チェチェン紛争で両親を失った孤児が養父であるロシアの将校を殺すと言う事件に置き換え、ロシアのかかえる社会問題に切り込んでいます。
 事件と12人の登場人物を変えると、色々なバリエーションが作れるというのが、この脚本の優れたところかもかも知れません。

 才人・三谷幸喜が、『十二人の怒れる男』をパロディーに仕立て上げました。
 事件は、21歳の美貌の女性が、復縁をせまる夫を道路に突きとばし、トラックに跳ねられて死亡するという殺人事件です。『怒れる男』は、11人の陪審員が有罪に投票し、ピーター・フォンダひとりが無罪を主張するところから出発しましたが、『優しい日本人』はこの逆で、「21歳の美貌の女性」に惑わされた11人が無罪、1人だけが有罪を主張するところから始まります。『怒れる男』では、話の進行によって有罪が無罪へと逆転しますが、『優しい日本人』では無罪から出発し無罪で終わります。

 12人の陪審員は全員男性でしたが、『優しい日本人』では3人の女性が混じっています。一見キャリウーマン風、他人の意見に左右される付和雷同型、物事を「感じ」でしか捉えることに出来ないオバサンと日本女性の典型?。
 男たちはと云うと、ただ一人有罪を主張し、論議を有罪に引っ張ってゆく若いサラリーマン(ピーター・フォンダに該当)を始め、論議が苦手でいやいや引き受けた男、仕事が気になって、早く終わることばかり考えているサラリーマン、根拠は薄いが、最後まで無罪を主張する男等など、これも何処にでもいそうな男たち。いかにもいそうな人々が、智に働き、情に流され、意地を通とおしながら殺人事件を審議してゆきます。

 見ている方は、このドラマが『怒れる男』のパロディーあることを知っているわけで、本家取りを発見してはニンマリする楽しみがあります。ストーリーが殺人事件の推理ですから、喜劇と分かっていてもつい推理を働かせる自分を発見して苦笑し、このバカバカしい論議に、三谷幸喜ははどんなオチを用意してこの決着をつけるんだろうとアレコレ想像する楽しみが加わります。

 外からは窺い知れない陪審制度、舞台裏はどうなっているんでしょうね。オチがもうひとつピリッとしませんが、ソコソコ楽しめます。

監督:中原俊
脚本:三谷幸喜
出演:塩見三省 林美智子 豊川悦司

タグ:BSシネマ
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