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BSシネマ ミシシッピー・バーニング(1988米) [日記(2013)]

ミシシッピー・バーニング [DVD]
 ジーン・ハックマンが刑事をやると、どう演じても“ポパイ”ですね。それほど『フレンチ・コネクション』のインパクトは強かったわけです。『ミシシッピー・バーニング』では、NY市警ではなくFBI捜査官です。帽子も被ってますからやはりポパイ(笑。

 1964年、ミシシッピー州の田舎町で行方不明となった公民権運動の3人の活動家を捜査する話です。有名な事件(ミシシッピの自由の夏)のようです。映画の中で、「黒人に選挙権登録をさせない」という発言が出てきますが、行方不明になった3人は、黒人に選挙権登録をさせ黒人をワシントンに送り込もうという運動に携わっていたようです。ユダヤ人云々の話も出てきますが、行方不明の3人は、黒人がひとりユダヤ人が2人で、人種差別と保守色の強いミシシッピーでこの3人の行方不明事件は、殺人と容易に想像されます。公民権法が制定された年で、事態を重く見た政府は「ジョンソン大統領はジョン・エドガー・フーヴァーに命じてFBIに捜査させた」そうです。映画では、ロバート・ケネディが命じたことになっています。

 という背景のもとに、FBIの捜査官 ウォード(ウィレム・デフォー )と アンダーソン(ジーン・ハックマン)が投入されます。
 公民権運動に係る捜査ですから白人は非協力的、黒人は白人の報復を恐れてこれも協力を拒みます。この四面楚歌のなかで、ふたりが如何に捜査を進めるか、というのがこの映画の見どころです。ウォードはワシントンのエリート、アンダーソンが現場からの叩き上げという設定で、この履歴も考え方も異なるふたりが、反発しながらも最後には手を握るという関係もサブストーリーです。ジーン・ハックマンの“ポパイ”も当然見どころですが、今回は麻薬シンジケート相手の強面だけではなく、「手帳片手に聞きまわっても何も得られない」と言って人情も使い分ける人情味あふれる“ポパイ”です。

 捜査が進展しないことに苛立ったウォードは、ワシントンから100名の応援を呼び映画館を借りきって捜査に当たります。映画館から苦情が出ると、「買い取ってしまえ!」「いくらぐらいで?」「上限なしだ!」などという会話があってビックリします。3人の乗っていた車が沼から発見されると、軍隊を動員して沼を浚いますが、大統領命令なんですからそういうこともアリですね。
 捜査とともに、黒人に対する放火や凄惨なリンチが描かれます。背後には有名なクー・クラックス・クランが存在し、米南部の人種差別の根の深さを思い知ります。

 3人の活動家はスピード違反で逮捕され、釈放されますがその後ふっつりと姿を消しています。3人を逮捕した保安官補ベル(ブラッド・ドゥーリフ)が容疑者として浮かびますが、夫人(フランシス・マクドーマンド)のアリバイ証言で逮捕できません。アンダーソンに言わせると、南部の女は高校生の頃に結婚相手を探し、卒業して結婚し、その結婚を後悔する。この容疑者の妻は(名前が無いのでフランシスということにします)、人種差別を快く思わず、自分の夫が活動家の殺害に加わったことに罪悪感を持っています。フランシスはアンダーソンにつぶやきます、「7歳の時から、人種差別は聖書に書いてあると習った、第9章27節」という会話があり、南部人にとってはモラル以前のものなのでしょうか?このフランシスの登場で人種差別とウィレム・デフォーと ジーン・ハックマンの凸凹コンビの映画にぐっと深みが出てきます。

 フランシスはアンダーソンの説得に応じ活動家の埋葬場所を教え、夫とKKKのメンバーのリンチにあって病院に収容されます。殺人、リンチ、放火と彼らの悪行に証拠がつかめないため悔しい思いをしてきた ウォードと アンダーソンは、フランシスのリンチでついに「堪忍袋の緒が切れ」ます...なるほどそう来ますか。 
  
 保安官補ベルを演じるブラッド・ドゥーリフは、『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』のグリマ(ヘビの舌)、その奥さんが『ファーゴ』で妊娠中の警察官という変わった主人公を演じたフランシス・マクドーマンドだそうです。
 これはお薦めです。
 
監督:アラン・パーカー
出演:ジーン・ハックマン ウィレム・デフォー フランシス・マクドーマンド ブラッド・ドゥーリフ

タグ:BSシネマ
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