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映画 ワイルドシングス(1998米) [日記(2013)]

ワイルドシングス エロティック・バージョン [DVD]
 ミステリというのは、騙される快感だと思います。ああでもないこうでもないと考えながら見て行って、最後の最後に“どんでん返し”、ああそういうことだったのか、という騙される快感です。ところが、このドンデン返しが映画中盤に現れ、2回3回と続くと、快感どころか不感症になってしまいます(笑。

 最初からネタバレです。高校教師が教え子の親から大金を詐取するという、クライム・ムービーです。この程度のネタバレは、この映画についていえば可愛いものです。逆転に次ぐ逆転で、しまいには誰が真犯人やら分かからなくなります。これを面白いとみるか、やり過ぎとみるか人それぞれですが、同工異曲の続編が2本作られていますから、ヒットしたんでしょうね。
 DVDには「エロティック・ヴァージョン」というのもあるらしいです。 

 舞台はフロリダ。ビーチにヨット、湿地帯にエアーボートと、道具立ては揃っています。高校教師サム(マット・ディロン)、本人はカウンセラー教師みたいなことを言ってますから、進路指導、生活指導の教師です。ヨット部の顧問で、颯爽としたスポーツマンタイプ、女生徒に人気があります。教え子からは、スポーツで大学に入って、選択問題だけ解いて卒業したとか何とか言われていますから、推して知るべし。マット・ディロンは、『クラッシュ』の黒人女性を救助する人種差別主義の刑事が印象的でしたが、フランケンシュタインにちょっと似たマット・ディロンも、若い頃はなかなかハンサム?です。

 生活指導教師のサムが、授業の一環として呼んできたのが刑事のレイ(ケヴィン・ベーコン)。レイは生徒を集めてセクハラの講習を行います。
 生徒の方は、車を洗ってやるとか言ってサムに近づくのが、典型的なヤンキー娘の生徒ケリー(デニス・リチャーズ)。富豪の父親は1年前に拳銃自殺、母親は男をとっかえひっ変えする浮気な女性で、サムとの関係も匂わせいます。ケリーに次いでスージー(ネーブ・キャンベル)が登場。麻薬所持で捕まり高校を退学させられたまぁ不良少女。 と役者が出揃います

 サムは、レイプ容疑でケリーの母親から訴えられます。映画は、着衣の乱れたケリーがサムの家から出て行く様子を捉え、レイプを暗示しています。豊満な肉体を武器にケリーはサムを誘ったようにも見えますが、教師が生徒と事件を起こしてはマズイでしょう。ケリーを演じるデニス・リチャーズはこの時27歳。童顔と肉体のアンバランスが魅力で、サムがついフラフラとなるのも分かりますが...。
 富豪で美人の恋人もいますから、何も教え子をレイプしなくてもよさそうなものです(やたらと金持ちが出てきますが、これも伏線)。バレれば職と社会的信用を失う危ない橋です。訴えられればどうしようのありません。ケリーはバンライアン家の娘で、バンライアン家に逆らってはこの街暮らしてゆけないという名家。そのバンライアン家に訴えられたのですから、サムはお終い。

 この事件を捜査するのがレイ。レイはサムがスージーをレイプした事実を突き止め、サムはもう絶体絶命。マスコミが騒ぎ出し、恋人と職を失うはめになります。

 サムは、自宅を売って費用を捻出し、弁護士ケン(ビル・マーレイ)に弁護を依頼します。ビル・マーレイが演じるのですから怪しさ満点。保険会社を騙すために、むち打ち症の保護器具みたいなものを付けて登場しますが、金のためなら大抵のことはしそうな雰囲気。この人はコメディアンですから、悪役というイメージはありません。

 で一見凡庸なケンを弁護士に、レイプ事件の裁判が始まります。ケリーの涙ながらの供述にサムの有罪はもう確定みたいなものです。ダメ押しで、スージーが登場します。この不良少女は、弁護士に供述の矛盾を突かれ、言い逃れできなくなって、サムのレイプは狂言であり、ケリーに証言を頼まれたことを暴露します。意外な展開で、事件そのものがケリーの狂言だったというわけです。ケリーはサムと母親の関係をバラし、母親に復讐するために事件をでっち上げたようです。
 弁護士のケンは、ケリーの母親から名誉毀損で850万ドルの慰謝料を取ります。意外な展開で、ここまでが第1段。

 家を失ってモーテル住まいのサムが自室に帰ると、そこのはケリー。抱き合っていますがどうなってるのか?。やがてスージーまで現れ、この3人は恋人同志だったいうオチです。
 つまり、サムとケリー、スージーが組んで、レイプ言事件をでっち上げ、狂言だったと自白してケリーの母親から慰謝料850万ドルをせしめ3人で山分け。なるほどうまく考えたものです。『太陽がいっぱい』ほどの叙情はありませんが、陽光あふれるフロリダを舞台に、高校教師サムの教え子を利用した成り上がりの物語です(ここまでは)。

 こういう映画では、後半に計画に綻びが生じ、主人公は破滅するわけです。『ワイルドシングス』では、この綻びが三角関係。サムをめぐるケリーとスージーの確執があり、分け前を増やすために、サムとケリーはスージーを殺害します。

 ケヴィン・ベーコンはどうなった!。最初にクレジットされている割には、ケヴィン・ベーコンはストーリーの核心に触れてきませんが、この後しっかり「どんでん返しのどんでん返し」に絡んできます。賠償金を取って一旦は退場したビル・マーレイも絡んできます。ということで、ネタバレもこの辺りでお終いにします。 

 サスペンスとしてはどうなのかというと、冒頭の感想「ドンデン返しが映画中盤に現れ、2回3回と続くと、快感どころか不感症になってしま」うことに尽きます。面白いことは面白いのですが、トリックに頼り過ぎでしょう。

監督:ジョン・マクノートン
出演:ケヴィン・ベーコン マット・ディロン ビル・マーレイ

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ryang

ケビン・ベーコン、好きです(*´∀`)
年取って悪役がはまってますね。
フットルースの頃は正統派なかんじでした(о´∀`о)
by ryang (2013-10-08 06:44) 

べっちゃん

ケヴィン・ベーコンはこの映画のプロデュースも手がけています。きっと脚本に惚れ込んだんでしょう。
by べっちゃん (2013-10-08 20:01) 

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