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映画 トゥー・ブラザーズ(2004英仏) [日記(2013)]

トゥー・ブラザーズ スタンダード・エディション [DVD]
 監督の名前だけで借りてきました。ジャン=ジャック・アノーは、『薔薇の名前』『セブン・イヤーズ・イン・チベット』『スターリングラード』と重厚でドラマのある映画の制作者です。今回はどうかというと、これが「虎」です。『トゥー・ブラザーズ』というのは、虎の兄弟の物語です。この監督は、『子熊物語』とかいう動物映画を撮っていますから、異例というわけでもなさそう。さらに、舞台がインドシナですから、『セブン・イヤーズ・イン・チベット』の雰囲気もあり、これはやはりジャン=ジャック・アノーです。

 虎に感情移入ができるのかと心配しましたが、そこは名匠、実に上手く作ってあります。つまり、ヌイグルミのような子供の虎を登場させて可愛さをふりまきますから、この子虎が成長して成獣となっても、感情移入が持続するわけです。

 ストーリーはよくある動物映画で、ディズニーといわれても違和感がありません。2匹の兄弟虎は、ハンターによって父親を殺され母親とはぐれ、2匹は別々の運命を生きることになります。1匹は、このハンター兼古美術兼作家のマクロリー(ガイ・ピアース)に拾われます。このマクロリーというのが変わった存在です。象牙を競売にかけたりしていますからハンターなんでしょうが、自分のハンティングを本に書き、ジャングルから石仏を運び出して売るという英国人。原作がありそうな人物ですが、ジャン=ジャック・アノーの創作で、『インディー・ジョーンズ』を連想しますが、『セブン・イヤーズ・イン・チベット』のハインリッヒ・ハラーのような冒険家です。マクロリーは、インドシナの密林に石仏を取りに出かけ、子供の虎を拾ったというわけです。
 アンコールワットが映りますから、舞台はカンボジア。虎が殺されたり石仏が国外に持ち出され、フランスの統治が想像される人物が登場しますから19世紀末~20世紀初頭の物語です。

 マロリーは、石仏盗掘の容疑で官憲に逮捕され、虎はサーカスに売り払われクマルと名付けられます。もう1匹は、母虎とともに罠にかかって生け捕りされ、フランス司政官の息子ラウール(フレディ・ハイモア)に飼われ、サンガと名付けられます。野生の虎と少年の物語というのも常道、マロリーがクマルにドロップ(飴)を与えて絆ができるあたりも、さもありなんという脚本。
 この2匹をつなぐ人物が、マクロリー、司政官の息子のラウールで、登場人物は基本的にこの2匹と2人。

 相手が動物、しかも赤ん坊ですから、その特性を利用した「可愛さ」が強調されます。クルマは、母親と離ればなれとなってサーカスの檻で食欲も無くしてひっくり返っているのですが、隣の檻の虎が尻尾を使ってはげましたり(事前に母親の尻尾にじゃれるシーンがあります)、マロリーが訪れてドロップを舐めさせたり、小技も利いています。サンガはというと、テーブルの下に潜り込んで食事をする男女(マロリーと司政官の妻)の足にじゃれつき、とんでもない誤解のもとを作ったり、なかなか笑わせてくれます。この後、テーブルクロスをひっくり返し、飼い犬を噛み殺し、サンガはカンボジアの王宮の動物園に貰われていきます。

 1年?後、成長したクルマとサンガが出会うのが、闘牛(虎)場。獰猛な虎同士を闘わせて楽しもうという人間の目論見をよそに、再会した兄弟虎は、闘うどころか、かつてのカンボジアの密林を思い出したようにジャレあうじゃれあう始末。クルマをけしかけようとするサーカスの虎使いに噛み付き、これを引き離そうと檻に入ったために開け放たれた扉から二匹は脱走。マロリーを中心に狙撃隊が結成されます。二匹の運命や如何に、となります。

 ラストはクマルとマロリー、サンガとラウールが再会し、二匹は密林に消えます。どうも期待したジャン=ジャック・アノーとは少し違っていました。ジャン=ジャック・アノーは、薔薇の名前』がベストです。
 お薦めかというと、「演技する」虎が活躍する動物映画としては楽しめます。これだと子供でも十分見ることができます。

監督、脚本:ジャン=ジャック・アノー
出演:ガイ・ピアース フレディ・ハイモア ジャン=クロード・ドレフュス

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