SSブログ

映画 クラウド・アトラス(2012米) [日記(2014)]

クラウド アトラス [DVD]
 まぁ何というか、観客の頭を混乱させる映画です。1849年(南太平洋)→1936(イギリス)→1973(サンフランシスコ)→現在(ロンドン)→2144(ソウル)→2312(島、ハワイ?)と、時空を超えた6つ物語が、時系列をバラバラにして、172分にわたって延々と描かれます。ひとつのテーマが6話で語られるかというと、ストーリーに関連性はありません。おまけに、十数人の俳優が姿を変えて6話に登場します。例えばトム・ハンクスは、医者、ホテルのクローク、作家、俳優、未来の人類とメーキャップを変えて登場(wikipedeiaご参照)。医者とホテルのクロークに関連性があるかというと、これもナシ。
 手塚治虫の『火の鳥』と似ているような似ていないような。たぶん『輪廻』を描いていると思うのですが、宗教的な表現も世界観もありません(無いことはないですが)。

6話とは、

1)1849年(南太平洋) :奴隷売買に携わる弁護士アダム(ジム・スタージェス)の物語・・・(ウォシャウスキー姉弟監督)
2)1936年(イギリス、エジンバラ) :交響曲「クラウド・アトラス」を作曲するロバート(ベン・ウィショー)の物語・・・(トム・ティクヴァ監督)
3)1973年(サンフランシスコ) :石油会社の陰謀を暴くジャーナリスト、ルイサ(ハル・ベリー)の物語・・・(トム・ティクヴァ)
4)2012年現在(ロンドン) :老編集者ティモシー(ジム・ブロードベント)の養老施設脱出物語・・・(トム・ティクヴァ)
5)2144年(ソウル) :複製種(クローンン人間)ソンミ451(ペ・ドゥナ)の革命物語・・・(ウォシャウスキー姉弟)
6)2321年(島、ハワイらしい) :文明が崩壊した時代の、島の住民ザックリー(トム・ハンクス)の冒険・・・(ウォシャウスキー姉弟)

 6話は、いずれも自由を取り戻す物語、弱肉強食の弱者が強者に戦いを挑む物語といえるかもしれません。1)では、主人公のアダムは、密航の奴隷に命を助けられ、後に奴隷解放運動に携わることになり、2)では大作曲家の採符係として雇われたロバートが、雇い主を殺して自分の作品を守ります。3)では、地球文明が滅んだ理由が明かされ、4)では老人施設に入れられた主人公が、暴力的な看護人の手を逃れて脱走を図ります。5)と6)が印象に残りましたから、少しご紹介。『マトリクス』のウォシャウスキー姉弟の監督、脚本ですから、SFとして楽しめます。

【2144年(ソウル)】
 文明が滅ぶ前の、未来世界と伝統が併存するソウルです(『ブレードランナー』の世界によく似ています)。人類はクローン人間を生み出し、単純労働に使っている世界です。クローンは、12年の年季が明けると自由になれるという契約で働かされ、家畜のように飼育されます。
 レストランで給仕クローンとして働くソンミ451は、同僚のユナ939から純血種(非クローン)に抑圧されるクローンの姿を教えられます。ユナ939は脱走を試みて殺されます。ユナ939を支援する革命集団のひとりチャン(ジム・スタージェス、純血種)が現れ、ソンミはユナの後継として革命集団に引っ張り込まれます。チャンがソンミに見せた、クローンのおぞましい実態とは...ネタバレ無しです(笑。で、ソンミは、母親から生まれたのか工場で生まれたのかは関係ない、純血種もクローンも同じ人間だ、と覚醒し革命の先鋒となります。
 この第5話は、ソンミとチャンの恋があり、ネオ・ソウルを舞台にしたアクションがあり、いかにも『マトリクス』のウォシャウスキー姉弟の映画です。『ブレードランナー』とよく似ています、パクリと言えなくもないですが、考えてみれば170分で6話、1話30分ではこのあたりが限界でしょう。

【2321年(島)】
 文明が滅んだ後、生き残った人類は、文明を後退させたブループ、高度な文明を維持するグループなどの小集団に分かれて暮らしています。羊飼いザックリー(トム・ハンクス)の住む島は、原始的な生活をするグループとそのグループを狩る食人グループのふたつが争っているという後進地域。ザックリーたちは、2144年の物語の主人公であるソンミ451を「ソンミ様」と信仰の対象とする宗教を持っています。
 その島に、高速艇に乗るメロニム(ハル・ベリー)が交易のために現れます。メロニムは、核融合を船の動力源として使う滅んだ文明を受け継ぐ種族です。
 メロニムはザックリーの姪の命を助け、ザックリーはその代償にメロニムを「悪魔の山」へ案内します。メロニムの目的とは、「悪魔の山」にある通信設備を使って、文明崩壊まえに地球を脱出した人類にSOSを送ることにあったのです。

 予備知識無しに見たので、何がなんだか分からず、結局2回見ました(笑。こういう映画の作り方もあるんだ、という映画です。フツーの映画には飽きた方にはお勧めかも知れません。wikipedeiaを参照して、各俳優の登場シーンを確認するという楽しみ方もあります。
 もうひとりの監督トム・ティクヴァも、『ヘヴン』『パフューム』の実力派監督です。ヒュー・グラント、ヒューゴ・ウィーヴィング、スーザン・サランドンがちょい役で出演するというのも、贅沢な話です。

監督、脚本:ウォシャウスキー姉弟 トム・ティクヴァ
出演: ハル・ベリー ジム・スタージェス ベン・ウィショー ジム・ブロードベント ペ・ドゥナ ヒュー・グラント ヒューゴ・ウィーヴィング スーザン・サランドン

nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0