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映画 モリエール 恋こそ喜劇(2007仏) BSシネマ [日記(2014)]

モリエール 恋こそ喜劇 [DVD]
 17世紀のフランス劇作家モリエールの若き日のエピソードです。『恋に落ちたシェイクスピア』『もうひとりのシェイクスピア』と同系列の映画です。前者に近いコメディです。
  
 モリエール(ロマン・デュリス)は、劇団を率いて地方巡業を終え破産状態でパリに戻ってきます。パリでは、王族も見に来るから喜劇ではなく悲劇だ、とモリエール一座は悲劇を演じますがこれが不評。モリエールは、喜劇作家として名を残していますから、その才分は喜劇にあったわけで、モリエールが、悲劇から喜劇に転向して成功したのには、こんなエピソードがあったんだよ、という映画です。

 モリエールに救いの手が差し伸べられます。富豪の商人ジュルダン(ファブリス・ルキーニ)が、演劇の教師としてモリエールを雇いたいと言ってきます。ジュルダンは、若い侯爵未亡人に恋し、彼女の歓心を買うために劇を催したい、ついては、という事でモリエールを招聘し、娘の家庭教師として邸に同居させます。
 このふたりにからむのが、ジョルダンの妻エルミール(ラウラ・モランテ)、ジョルダンと侯爵未亡人の橋渡しをするドラント伯爵(エドゥアール・ベア)のふたり。 
 時代はというと、ヴェルサイユ宮殿を作り「太陽王」と呼ばれたルイ14世の時代です。ドラント伯爵の正装はまさにダルタニャン、三銃士です。『シラノ・ド・ベルジュラック』はルイ13世の頃ですが、ルイ14世というと「鉄仮面」です。という様な時代背景は全く関係ありません。パリ郊外?のジョルダン邸を舞台に、モリエールとジョルダンの恋の喜劇が展開されます。

 モリエールの方は、雇い主ジョルダンの邸に居候を決め込んでいる間に、奥さんエルミールと不倫関係になってしまいます。公爵夫人との恋を成就させるために雇ったモリエールに、奥さんをさらわれてcocu(寝取られ夫)となってしまいます。このジョルダンを演じるファブリス・ルキーニという俳優さんの演技が、じつに上手いです。ジョルダンは、バロック調の壮大な邸に住む成功した商人。ジョルダンは、若くて美人の「侯爵夫人」を手に入れて、貴族のサロンに仲間入りしたかったのではないでしょうか。そのために下手な脚本を書き、モリエールを教師に俳優修業に励みます。

 この金持ちの商人の恋に取り入るのドラン伯爵。伯爵と身分だけは高いのですが、派手に遊んで暮らしているので台所は火の車、ジョルダンに多額の借金があります。侯爵夫人との仲を取り持ってやるとか何とかうまいことを言って、ジョルダンから金を引き出し、息子をジョルダンの娘と結婚させて財産を狙うという、まぁ悪役。おまけに、ジョルダンが恋焦がれる侯爵夫人とドランは恋人関係で、公爵夫人ともどもジョルダンを‘たかが商人’とバカにしている始末。

 この魂胆を見抜いたモリエールは、ジョルダンの目を覚まさせるため一芝居をうち、侯爵夫人の本心を明らかにしてジョルダンに諦めさせます。この辺りは、役者モリエールの面目如実。
 侯爵夫人をネタにジョルダンから金が引き出せなくなったドラン伯爵は、息子とジョルダンの長女の結婚を必死に画策。ジョルダンは、娘が伯爵夫人となるので乗り気なわけですが、奥さんのエルミールは大反対。この結婚話を潰すためにまたもモリエールが大活躍?します。

 モリエールがジョルダンを助けてドラン伯爵をやっつけるというのが、この映画の骨子で、ある意味、平民vs.貴族みたいな映画です。ドラン伯爵というのは、浪費家で女性関係が派手だったルイ14世の小型版です。モリエールとジョルダンがドラン伯爵に勝利をおさめるとというのは、ルイ16世を断頭台に送ったフランス革命の前哨戦みたいなものでしょうか。

 フランスでは大ヒットしたらしいですが。若い役者が、奥さんと不倫して貴族をやっつけるコメディ、ということではおすすめかもしれません。

監督:ロラン・ティラール
出演:ロマン・デュリス ァブリス・ルキーニ ラウラ・モランテ

タグ:BSシネマ
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