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映画 愛のメモリー(1976米) BSシネマ [日記(2014)]

愛のメモリー Blu-ray
 原題はObsession。妄想、強迫観念、執念、取り憑かれている、という意味です。何に取り憑かれているかというと、「愛のメモリー(記憶、思い出)」ですから邦題も間違ってはいないのですが、タイトルとしては原題Obsessionの方が映画の中身にピッタリのような気がします。『愛のメモリー』だとラブストーリーと間違いますが(そうでもある?)、実はサスペンス。サスペンスというのはネタが面白さが命で、ネタバレ無しに感想は書けません。最後まで書きます(笑。これから見ようという方はご注意!。

【1959年 ニューオリンズ】
 裕福な不動産業者マイケル(クリフ・ロバートソン)の妻エリザベス(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド)と娘のエイミーが自宅から誘拐されます。「二人を返して欲しければ、50万ドルを詰めた鞄をコットン・フラワー号(船)から○○埠頭に投げろ。警察に通報すると二人の命は無い」という脅迫文が部屋に残されます。

ところがマイケルは警察に届け、警察は紙くずと発振器を詰めた鞄を受け渡し場所に運ばせます。当然、御用となるわけで、騙された犯人はエリザベスとエイミーを人質に車で逃亡を図りタンクローリーに激突炎上、川に落ちて人質もろともに死にます。
 愛妻と娘を亡くしたマイケルの嘆きと悲しみはひとかたならぬもので、警察に届けなかったら妻と娘は助かったかもしれない、ふたりを殺したのは自分ではないかと自責にかられます。マイケルは、ふたりのために教会を模した大きな墓を建てます。

 マイケルとエリザベスの他にもうひとり、マイケルの共同経営者ロバート(ジョン・リスゴー)が登場します。クリフ・ロバートソンやジュヌヴィエーヴ・ビジョルドはよく知らないのですが、ジョン・リスゴーはその特異な風貌でお馴染みです。『ガープの世界』『愛と追憶の日々』、最近では『猿の惑星: 創世記』にも出演しています。このジョン・リスゴーさんが、今回のkeyです(少しネタバレ)。
 
【1975年 フレンツェ】
 マイケルはロバートと商用でフィレンツェに行き、エリザベスと出会った思い出の教会を訪れます。マイケルがエリザベスと娘のために建てた墓は、この教会を模したものだったことが明らかになり、マイケルは教会の中でエリザベスと瓜ふたつの女性サンドラ(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルドの二役)に出会います。いよいよサスペンスの雰囲気です。
 マイケルは、サンドラとたちまち恋に墜ち、ふたりがフィレンツェの街を彷徨う辺りは『愛のメモリー』です。マイケルは、サンドラへの愛をエリザベスに重ねているわけで、サンドラではなくエリザベスを愛しているわけです。サンドラとエリザベスが別人であることが分かれば恋は覚める筈ですが、熱くなったマイケルは歳の離れたサンドラと婚約し、ニューオリンズに連れ帰ります。

ネタバレ 1975年ニューオリンズ】
 1959年に妻と娘を亡くし、1975年のフィレンツェで妻との思い出の場所で妻とそっくりな女性に出会い、恋に落ちる。何とロマンチックな話でしょう。
 ここからがサスペンスです。マイケルの邸でサンドラを迎えるのは、エリザベスの写真や肖像画であり、ドレスや装飾品などの思い出の品々です。先妻の霊が漂うような邸で新妻サンドラは何と出会うのか?、ヒッチコックの『レベッカ』の雰囲気です。開かずの間で、サンドラはエリザベスの死の真相を知ることとなります。

 そして事件が起こります。サンドラが自宅から誘拐され、部屋には「妻を返して欲しければ、50万ドルを詰めた鞄をコットン・フラワー号(船)から○○埠頭に投げろ。警察に通報すると妻の命は無い」という脅迫文が部屋に残されます。 
 1959年の事件の再来です。妻子を殺したのは自分だという自責の念に苦しんだマイケルは、今度は警察に届けずロバートから土地を担保に50万ドルを借り、鞄に詰めて○○埠頭に投げ込みます。
 ところが鞄を取りに現れたのは、何とサンドラ!。さらに、鞄の中身は50万ドルではなく紙くず(銀行ですり替えるシーンがあります)。この狂言誘拐を裏で仕切っていたのは、マイケルを共同経営者から追い落として会社を独り占めしようとするロバートだったのです。

 さらに裏があって、1959年の誘拐もロバートが仕組んだ事件でした。マイケルはロバートから身代金の50万ドルを借り、ロバートはマイケルを共同経営者から追い出して会社を独り占めにする筈でした。ところがマイケルが警察に届けたことによって計画が狂ったのです。警察に踏み込まれた誘拐犯達は、実はエリザベスだけを車に乗せて逃亡を図り、エイミーは生き残っていたのです。ロバートは、エリザベスとエイミーを別々にすることで、一方が捕まってももう一方を人質として再度マイケルから50万ドルを引き出せると読んだのでしょう。
 ところがエリザベスを載せた車はタンクローリーと激突して川に沈み、死体が上がらないという状況となります。エイミーが生きていては都合が悪いわけで、ロバートはエイミーを密かにイタリアに連れ出します。

 16年経って、母親そっくりに成長したエイミーを見てロバートに新たな計画が生まれます。サンドラとなってマイケルの前に現れたのはエイミーでした。マイケルが恋をして結婚したサンドラとは、実の娘のエイミーだったというわけです。そして1975年の誘拐事件が計画されます。1959年の誘拐事件で、妻と娘を殺したのは自分だと考えるマイケルは、今度は警察に届けず自ら50万ドルを調達するはずです。
 目論みは見事に当たり、狂言誘拐は大成功 → そううまくは行きません。好事魔多しで、結局・・・ということになります。

 ラストはあっけないのですが、エリザベスとそっくりなサンドラにさんざん引き回され、最後のオチに至る「騙される快感」は捨てがたいです。これはお薦めです。

監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:クリフ・ロバートソン ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド ジョン・リスゴー

タグ:BSシネマ
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コメント 2

小太郎

映画館で見たときは訳分かりませんでした。
by 小太郎 (2015-11-01 20:36) 

べっちゃん

ラストのどんでん返しは割りと面白いです。
by べっちゃん (2015-11-03 21:24) 

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