映画 ガントレット(1977米) BSシネマ [日記(2014)]
原題、The Gauntlet。クリント・イーストウッドの監督6作目の刑事ものです。『ダーティーハリー』は1971年ですから、『ガントレット』はダーティーハリー外伝?みたいなものです。クリント・イーストウッドはドン・シーゲルを尊敬していますから、オレもシーゲルの様な刑事物を作ってやろうと思ったのかどうか。
冒頭、ヒゲも剃らずノーネクタイで出勤したショックリー(クリント・イーストウッド)は、新任の警察長官に呼びつけられます。「優秀」な刑事のショックリーに、ラスベガスから裁判の証人を護送する任務が与えれます。
この証人ガス・マリー(ソンドラ・ロック)が、なんと女性で娼婦。ガスの出廷を恐れたマフィアが彼女の命を狙っているわけで、ショックリーとガスは、マフィアの魔手を逃れ一路フェニックスを目指す逃走劇が始まります。
余談ですが、ソンドラ・ロックはクリント・イーストウッドの事実上の奥さんで、夫唱婦随の映画を見せられるわけです。ふたりの共演は『アウトロー』『ガントレット』『ダーティファイター』『ブロンコ・ビリー』『ダーティハリー4』と5本にも及びます。チャールズ・ブロンソンとジル・アイランドみたいなものですね。もっとも、クリント・イーストウッドはソンドラ・ロックと別れています。ということでこのコンビ、息はぴったり合っています。
護送用の車をマフィアに爆破され、一旦ガスの自宅に難を逃れたふたりに襲いかかるのがラスベガス警察。警察がショットガンや機関銃まで持ちだして、ガスの家をそれこそボコボコにします。なんで警察が警官のショックリーを襲うのだ?というのが、この映画のミソです。
裏があって、ショックリーにガスの護送を命じた警察長官は娼婦ガスの客、しかも饗応を受けてガスを抱いたという過去があります。ガスが法廷で証言すると自分の汚職が明らかになることを恐れた長官は、フェニックス署の冴えない刑事に護送を命じ、ふたりを葬ってしまえというのが裏です。
この事実を知ったショックリーは、長官の悪事を暴くためにフェニックス乗り込む決意をします。ガスは、ショックリーと行動を共にしている間に、彼のタフガイ振りと警察の正義を信じる人柄に惹かれてゆくわけです。ショックリーの目の前で結婚の決意を電話で母親伝えるあたりは、アカデミー賞ノミネート女優の貫禄十分。パトカーを乗っ取った時、彼女を娼婦と知った警官との掛け合いもいいです。
何でも賭けの種になるラスベガスです。ショックリーがベンをフェニックスまで無事護送する掛率が、100倍まで跳ね上がり、ガスは全財産を成功する方に賭けて、ショックリーと共にフェニックスに向かいます。
突っ込みどころの多い映画ですが、監督が愛人を出演させたという以上に、ソンドラ・ロックは光っています。と言うか、クリント・イーストウッドが愛人に気を遣ったのでしょうね。
見どころは、バスを乗っ取ってフェニックス市庁舎に乗り付けるシーン、ということになっていますが、大して面白くありません。CGの無い時代ですから実弾を使うわけで、そうした意味では迫力はあります。
後に『ミスティック・リバー』や『ミリオンダラー・ベイビー』を世に送リ出したイーストウッドにも、若い頃にはこういう駄作?もあったわけです。
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド ソンドラ・ロック
タグ:BSシネマ
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