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映画 麗しのサブリナ(1954米) [日記(2014)]

麗しのサブリナ [DVD]
 オードリー・ヘプバーンと ハンフリー・ボガートのラブコメディーです。公開当時、ヘプバーン25歳、ボガード55歳。親子ほどの年の差をものともせずラブストーリーを作ったことになります。ボガードは『カサブランカ(1942)』で有名になり『アフリカの女王(1951)』ではアカデミー賞を貰うという遅咲きのスターです。この50年代の大スター/ボギーとヘプバーンを組み合わせるというマーケティンがほの見えます。

 歳の差のある恋愛というのは、この後も続き、『昼下りの情事』でゲーリー・クーパーと組み、『マイ・フェア・レディ』の相手役はレックス・ハリスンです。思うに、キュートな若い娘が年配の男性と恋をするという設定は、当時のオジサンの心をくすぐったのでしょう。もうひとつ、ヘプバーンには年上の恋人とともに渋い父親が配されます。『サブリナ』ではお抱え運転手(ジョン・ウィリアムズ)、『昼下りの情事』では私立探偵(モーリス・シュヴァリエ)、『尼僧物語』では外科医(ディーン・ジャガー)、『マイ・フェア・レディ』では飲んだくれのアルフレッド(スタンリー・ホロウェイ)。この父親役には、当時の一流の俳優が起用されています。さらに、母親は不在。どの映画も天使のようなヘプバーンを護るのは、中年の恋人であり初老の父親です。『マイ・フェア・レディ』のアルフレッドの存在がずっと謎でしたが、答えはこの辺りにありそうです。

 サブリナ(オードリー・ヘプバーン)は富豪のララビー家のお抱え運転手の娘。使用人の娘ですから、毎夜の如く催される舞踏会には招かれず、木に登って見物する他はありません。熱い視線の先には、ララビー家の次男デイヴィッド(ウィリアム・ホールデン)がいます。デイヴィッドは3回の結婚に失敗し、ララビー家の当主である父親の情けで関連会社の平取をやっているという、まぁララビー家の厄介者です。
 デイヴィッドの関心は「女性」であり、小娘のサブリナには見向きもしません。サブリナは、死んでやる!と車庫で8台の車のエンジンをかけ、排気ガスで自殺を図りますが、ララビー家の長男ライナス(ハンフリー・ボガート)に救われます。このライナスは、ララビー財閥のトップとして幾つもの会社を切り盛りする辣腕経営者で、かつ独身。会社の業績と株価しか興味の無いライナスが、後にサブリナに傾斜してゆくというのが、この映画の見どころです。

 使用人の娘が主人の息子に惚れてもロクなことにはならないと、サブリナの父親トーマス(ジョン・ウィリアムズ)は、料理を学ばせる為に彼女をパリに送り出します。2年ほどパリで頭を冷やせば、サブリナもデイヴィッドのことを忘れるだろうという親心です。
 ところが、2年経ってサブリナはパリの水で磨かれ、サナギが蝶になって帰郷します。デイヴィッドは、4度目の結婚を控えているというのにたちまちサブリナに夢中となり、トーマスの親心も無駄になり、サブリナもデイヴィッドに夢中となります。
 デイヴィッドは、シャンパングラスの上に座って尻に破片が刺さり23針縫うという怪我をし、サブリナとのデートも当分お預けとなります。ふたりの間に割って入るのが兄のライナス。ライナスは、弟の代わりにサブリナの前に現れ、家族だから兄も弟も一緒だろうとキスする辺りから、サブリナにのめり込んでいきます。サブリナもまた、ライナスの人間的な温かみにあふれたライナスに次第に惹かれてゆきます。
 父親のトーマスは、サブリナがデイヴィッドばかりか兄のライナスと付き合うことに心を痛め、ライナスを乗せた車の中で彼に頼みます、

小魚を水に返して下さい

この一言は、ボガードの毒牙にかかるか弱きヘプバーンという雰囲気で、ストーリー以上の効果を発揮します(笑。

 デイヴィッドの政略結婚でララビー財閥のさらなる飛躍を狙うライナスは、弟とサブリナを引き離すために計画をめぐらせます。サブリナに惚れているがビジネスも大事、恋敵の弟とも分かれさせたい、というライナスの苦渋の選択でしょう。フランス行きの船に自分とサブリナの部屋を予約し、いかにもふたりでフランスへ逃避すると見せかけて自分は乗らずにサブリナだけを行かせようとします。ところが、ライナスはこの船に乗ってしまうというサプライズがあって、ハッピーエンド。

 年齢差は気になりますが、『カサブランカ』のボガードが小娘に惑う姿、ジョン・ウィリアムズの渋い演技、ウィリアム・ホールデンのコメディアン振りと見どころは多いです。ビリー・ワイルダーは、この後マリリン・モンローを主役に制作しますが、何と言っても『情婦』が面白いすね。

監督:ビリー・ワイルダー
出演:オードリー・ヘプバーン ハンフリー・ボガート ウィリアム・ホールデン

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barentain

兄弟の父や秘書がツボ 脇役や小道具までおもろいのがワイルダー
日本人はオードリーとか吉永小百合とか清純可愛い優等生が好きだ
欧米はキャサリーンヘプバーンやデートリッヒなど大人の強い女を好む 57才で病没ボギー晩年の貴重な一作 舞台出身セリフ声がいい 味のある俳優
by barentain (2018-02-04 06:52) 

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