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映画 ジェロニモ (1993年米) BSシネマ [日記(2014)]

ジェロニモ [DVD]
 騎兵隊のデイヴィス少尉(マット・デイモン)の目から、“インディアン”ジェロニモを描いています。西部劇では、インディアンは敵役として描かれてきましたが、その風向きが変わるのが『シャイアン』(1964、ジョン・フォード)あたりからではないかと思います。『ソルジャー・ブルー』(1970、ラルフ・ネルソン)になると、インディアンは 抑圧される存在であり、騎兵隊はもうはっきりと虐殺者として描かれます。
 90年代に入ると、『ダンス・ウィズ・ウルブルス(1990、ケビン・コスナー)』 などインディアン を描く映画も多様化してきます。 1993年の『ジェロニモ』では、ジェロニモを戦士として尊敬し、居留地に追い立てられる彼等に同情をよせる騎兵隊員が描かれます。

 第六騎兵隊のゲイトウッド中尉 (ジェイソン・パトリック)と新任のデイビス少尉(マット・デイモン)は、投降してきたジェロニモ (ウェス・ステュディ)逮捕に赴きます。ゲイトウッドはインディアンの言葉に通じ、ジェロニモに敬意を払う騎兵隊員で、司令官クルック准将(ジーン・ハックマン)もまたジェロニモに信頼される数少ない白人のひとりです。
 ジェロニモは彼等の意見を受け入れ一旦は居留地に入りますが、警備の騎兵隊員の暴走によってジェロニモと彼を支持するインディアンは脱走し、またも白人に対する殺人、略奪を繰り返すようになり、責任を取ってクルック准将は辞任します。
 新しい司令官の命令で、ゲイトウッドとデイビスはジェロニモに投降を勧告しに出かけます。ジェロニモが投降すれば、2年間のフロリダ送りののち居留地に戻し土地とラバを与える、という正負の約束を伝え、こてを了解したジェロニモは部下35人と投降します。ゲイトウッドはジェロニモ逮捕の功績が仇となって奥地の砦に左遷、約束が破られたたことを知ったデイビスは軍隊を去ります。話はこれだけです。

 タイトルは『ジェロニモ』ですが、実質の主人公はジェイソン・パトリック、 マット・デイモン、ジーン・ハックマン、ロバート・デュヴァルが演じる白人の騎兵隊です。 『ジェロニモ』は、滅びゆくアパッチ族の哀愁を描き、彼等を追い立てる白人を非難しながらも、インディアンに味方した、同情を寄せた白人がいたという免罪符を描いた映画なのです。
 免罪符という意味では、既に1964年にジョン・フォードが『シャイアン』で描いています。『ダンス・ウィズ・ウルブルス』で、騎兵隊の中尉は、スー族の女性(スー族にさらわれた白人)と結婚しスー族となって騎兵隊に追われます。そこには、インディアン迫害について第三者として免罪符を振りかざすのではなく、彼等の痛みを自己のものとしようという誠実さがあります。『ジェロニモ』にあるのは、傍観者の視点でしかありません。

 ということで、お勧めの映画というわけにはいきません。

監督:ウォルター・ヒル
出演:ウェス・ステュディ ジェイソン・パトリック マット・デイモン ジーン・ハックマン ロバート・デュヴァル

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