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映画 ぼくの大切なともだち(2006仏) [日記(2015)]

ぼくの大切なともだち (完全受注5,000本限定生産) [DVD]
 友達のいない孤独な中年男が、親友を求めて右往左往する辛口のコメディです。

 美術商フランソワ(ダニエル・オートゥイユ)は、共同経営者カトリーヌ( ジュリー・ガイエ)、の止めるのも聞かずオークションで古代ギリシアの壷を20万ユーロで落札します。その壷とは、友人の死を悼んで涙をため墓に納めたという壷です。友情の壷、これが落札の動機です。

 後日、仕事仲間の集まりで、友人のいないフランソワの葬儀には誰も出席しないだろうと云う話になります。俺にだって親友は居ると見栄を張るフランソワに、カトリーヌは賭けをいどみます。今月中(後10日)に親友を連れて来れなければ、友情の壷は私のもの、というわけです。

 誰だって親友のひとりやふたりはいますね。フランソワは、ピックアップした友人リストの中から親友と思われ友人を訪ねますが、いずれも空振り。フランソワは、親友はおろかひとりの友人もいないことを思い知らされます。

 ここでひとりの男が登場します。偶然乗ったタクシーの運転手ブリュノ(ダニー・ブーン)。博識のブリュノは、客のフランソワに自分の知識をひけらかし、フランソワはむくれて途中で降りてしまいます(これは伏線)。このブリュノは、誰とでもすぐに仲良くなるという特技の持ち主。その特技を見込んで、フランソワは友人を作る特訓をブリュノに依頼します。まずはその狷介な性格を直そうと、道行く人に声をかけますが、いずれも失敗。

 この先生と生徒の関係が、友情に発展するわけです。

 さて約束の10日が近づき、フランソワは親友ができたことをカトリーヌに伝えます。親友とは何か?。カトリーヌによると、親友とは友の危機に自分を犠牲に出来る関係だというのです。それを証明できないと親友とは認めないと。

 フランソワは一計を案じます。ブリュノに自分の美術ギャラリーが経営危機にあることを話し、資金繰りのため「友情の壷」を使った保険金詐欺を頼み込みます。ブリュノに壷を盗ませようということです。苦渋の決断の末、ブリュノは深夜フランソワの自宅に盗みに入ります。いざ壷を盗もうという時に灯りかりがつき、そこには、フランソワの親友を確かめに来た面々が...。怒ったブリュノは、20万ユーロの壷を叩き壊してしまいます。
 友人を「賭け」に利用する、友情をダシに騙す、こういう性格こそが、フランソワに親友が生まれなかった原因だったのです。

 実は、ブリュノの壊した壷はコピーだったのです。銀行の差し押さえを心配したカトリーヌがコピーを作ってすり替えたのです。

それで、ブリュノは偽物だと知っていたのか?
(フランソワ
いいえ、壷も友情も本物だと信じていた(カトリーヌ)

 この映画には、こうした仕掛けがいくつか施してあります。ブリュノの博識と、オークションで壷を競ったのがTV局のプロディーサーだったというのもそのひとつです。

 フランソワは、プロデューサーに頼み込み、ブリュノの夢、クイズ番組出場する夢を実現します。ブリュノを裏切ったせめても罪滅ぼしです。ブリュノは「クイズ・ミリオネア」に出場し...ということになります。

 最後はハッピーエンドで、大変分かりやすい映画です。分かりやすいですが、我が身を振り替えれば誰もがフランソワであるという、アイロニーの効いたいかにもフランス映画らしい映画です。
 ということで、万人向けの(それが欠点でもあるのですが)お薦め映画です。

 ブリュノを演じたダニー・ブーンですが、何処かで見たことがあると思ったら、ジャン=ピエール・ジュネの『ミックマック』に出ていました。ダニエル・オートゥイユは『あるいは裏切りという名の犬』『画家と庭師とカンパーニュ』など硬派も人情ものもこなせる名優ですね。

監督:パトリス・ルコント
出演:ダニエル・オートゥイユ ダニー・ブーン ジュリー・ガイエ

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