映画 エレファント(2003米) [日記(2015)]
『エレファント』は、俳優が演技する映画ですが後者に近い形をとっています。
『エレファント』に於いて、制作者は、事実をありのまま観客の目に曝し解釈はどうぞご自由にと言っているようです。さあ、われわれ観客はどのように『エレファント』を解釈、あるいは鑑賞すればいいのでしょうか。
前半で、犯人のひとりアレックス(アレックス・フロスト)の銃乱射に至る動機のようなものに少しだけ触れられています。「虐め」ですが、大きくは取り上げられていません。むしろ、授業、クラブ活動、課外活動、女生徒のたわいないお喋りなど、高校生のありふれた日常が幾分間延びした映像で描かれます。後半の惨劇を、劇的に見せるための効果を狙ったものかもしれません。あるいは、日常はいともたやすく非日常(銃乱射)に飲み込まれるという、その落差を狙ったものかも知れません。
宅配便で荷物が届き、箱の中からライフルが現れます(アメリカでは、通販でライフルが買える!)。まるで玩具か何かのように、ふたりはライフルを持ってガレージに向かい試射を始めます。
決行の日、アレックスはエリックに 「楽しめ」と言い、エリックは「今日は死ぬ」と言います。
エリックが校長と出会うシーンには、彼らの動機が窺えます。エリックは、虐めの相談があれば親身に対処せよと校長に言っています。できないなら殺すと言い、結局は校長を射殺します。それ以外エピソードらしいエピソードもなく、(エリックがやっていた)パソコンのシューティング・ゲームの様に淡々と射殺します。やがて二人が出会い、アレックスは突然エリックを射殺してしまいます。これについても、何の説明もありません。
この映画の粗筋を書いてもほとんど意味を持ちません。『エレファント』というタイトルについて、wikipediaにはこうあります。
一つは“Elephant in the room”という慣用句に基づいたもので、これは誰の目にも明らかな大きな問題があるにもかかわらず、それについて誰も語ろうとせずに避けて日常を過ごすとの表現からの引用である。
さらには「群盲象を評す」ということわざ。
私もまた巨象を撫でる群盲のひとりにしか過ぎないようです。
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:アレックス・フロスト エリック・デューレン ジョン・ロビンソン
出演:アレックス・フロスト エリック・デューレン ジョン・ロビンソン
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