SSブログ

映画 The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛(2011仏英) [日記(2015)]

The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛 [DVD]
 映画と対応したアウンサンスーチーの履歴です(wikipediaからの抜き書)。映画もこの履歴に忠実に作られています。

1988年 4月:病気の母を看護するためビルマに帰国
      8月:8888民主化運動、シュエダゴン・パゴダ前集会で50万人に向け演説
      9月:国軍がクーデター、国民民主連盟(NLD)の結党に参加
1989年 7月:自宅軟禁
1990年 5月:総選挙、アウンサンスーチーの率いる国民民主連盟が大勝
1991年12月:ノーベル平和賞を受賞
1995年  7月:自宅軟禁から解放
1999年 3月:夫マイケル・アリス癌で死亡
2000年 9月:自宅軟禁

 ミャンマー民主化運動のシンボルですから、政治色の濃い映画かとおもったのですが、「引き裂かれた愛」とタイトルにあるように家族愛の物語です。

 アウンサンスーチーは、ビルマ建国の父と呼ばれるアウンサンの長女ですから、政治家の血が流れているのでしょう。母親の看病に帰国した途端民主化運動のシンボルに祭り上げられ、それをすんなり受け入れます。

 スー・チーの影響力を恐れた軍は、自宅に軟禁し、自由と引き換えに出国を提案。一度国外に出れば二度と入国はかなわず、ビルマの民主化の遅れを恐れるスーチーはこれを拒否します。軍は、民主化運動の活動家を逮捕書し、国際電話を妨害し彼女の夫と子供のビザ発給しないという圧力をかけます。
 スーチーの夫は、イギリス、アメリカ政府にロビー活動をし、ノーベル賞獲得の運動までして彼女の命を守ろうとします。1991年に、スーチーにノーベル平和賞がもたらされ、出国できない彼女に代わって夫と子供が授賞式に出席し、長男がスピーチします。このスピーチをBBCの海外放送で聞く辺りが見せ場です。夫は、妻と会えないまま癌で亡くなります。

 つまり、この映画は政治色ゼロ。軍よって引き裂かれた家族愛だけが描かれ 、スーチーの政治活動も軍部の独裁も、「引き裂かれた愛」を描くための修飾物にすぎません。せめて、祖国を取るか家族を取るか、究極の選択の根元にあるものを描けば、この映画はすぐれた人間ドラマになったのでしょうが、そんなものはありません。

 監督はリュック・ベッソン。『サブウェイ』に始まり『ニキータ』『レオン』『アンジェラ』と独自の映像世界を持つベッソンも、『アーサー』のお子さまシリーズを経てホームドラマに行き着いたようです。

監督:リュック・ベッソン
出演:ミシェール・ヨー デヴィッド・シューリス
タグ:BSシネマ
nice!(6)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 6

コメント 4

Lee

スーチーさんは現役なので難しい面はあるかもしれませんね

拙ブログにて内田百閒の第一阿房列車の記事をアップしました。
感想を書くこと自体が難しい一冊で(笑)遅くなりましたが、
よかったらご覧ください。
by Lee (2015-07-04 11:40) 

べっちゃん

百閒さんのキャラ、イイですね。百閒さんを主人公にしたした黒澤の映画があるようなので、今度見てみます。
by べっちゃん (2015-07-04 19:52) 

Lee

鈴木清順のツィゴイネルワイゼンも内田百閒の原作だそうですね。

阿房列車の記事のリンクを貼らせていただきました。
by Lee (2015-07-05 01:29) 

べっちゃん

百閒さんは図書館にドッサリあるので、少しづつ読んでみます。
by べっちゃん (2015-07-05 07:57) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0