映画 山猫 イタリア語・完全復元版 (1963伊仏) [日記(2018)]
19世紀中葉のイタリア統一運動を背景に、シチリアの名門貴族の落日を描いたルキーノ・ヴィスコンティの『山猫』です。『山猫は眠らない』ではありません(笑。
シチリアで数百年の歴史を持つサリーナ公爵家の当主ファブリツィオ(バート・ランカスター)と甥のタンクレディ(アラン・ドロン)のふたつ世代を配し、ファブリツィオ世代がタンクレディ世代に取って代わられる世代交代と、市長の娘でタンクレディの婚約者アンジェリカ(クラウディア・カルディナーレ)に代表される新興勢力に貴族階級が駆逐される物語です。市長は、ファブリツィオにうやうやしい態度を取りますが、広大な土地を持ち、没落貴族(タンクレディ)と結婚する娘に莫大な持参金を持たせる財力があります。
但し、世代交代もファブリツィオの没落もありません。時代が変わるという予感のなかで、貴族の「黄昏」が描かれます。
19世紀のイタリアは、サルデーニャ王国、モデナ公国、両シチリア王国などに分裂しています。統一運動が起こり、映画の会話でさかんに登場するガリバルディが両シチリア王国を征服しイタリア王国の基礎を築きます。祖国統一に燃える?タンクレディはガリバルディの赤シャツ隊に入り、革命(社会変革)側にあり、シチリ貴族のファブリツィオは、征服されイタリア王国に組み込まれる側にあります。
ファブリツィオはイタリア王国の貴族院議員候補となります。その知らせをもたらした使者に、ファブリツィオは、自分の代わりに市長を推薦します。ファブリツィオの功績をたたえ市長は誠実さに欠けるという使者に、
但し、世代交代もファブリツィオの没落もありません。時代が変わるという予感のなかで、貴族の「黄昏」が描かれます。
19世紀のイタリアは、サルデーニャ王国、モデナ公国、両シチリア王国などに分裂しています。統一運動が起こり、映画の会話でさかんに登場するガリバルディが両シチリア王国を征服しイタリア王国の基礎を築きます。祖国統一に燃える?タンクレディはガリバルディの赤シャツ隊に入り、革命(社会変革)側にあり、シチリ貴族のファブリツィオは、征服されイタリア王国に組み込まれる側にあります。
ファブリツィオはイタリア王国の貴族院議員候補となります。その知らせをもたらした使者に、ファブリツィオは、自分の代わりに市長を推薦します。ファブリツィオの功績をたたえ市長は誠実さに欠けるという使者に、
彼には威信よりむし実権がある 科学の功績はないが 極めて世故にたけている
”5月危機”での彼の活動は見事だった 幻想にかんしては・・・私よりも抱かないが
必要なら創る賢さがある だから問題ない
シチリアの後進性を指摘し近代化を促す使者に対し
シチリアの人間は改善を望まない 自分自身を完璧だと思っているからだ
貧困よりも 虚栄心にこだわる
また、使者との別れ際にファブリツィオはこう呟きます、
山猫や獅子が支配する時代は去り ジャッカルや羊が取って代わる
そして 山猫 獅子 ジャッカル 羊のそれぞれが 自分を”地の塩”と思い込むのだ
山猫はサリーナ公爵家の紋章です。やはり、「山猫は眠らない」と言っているように思えます。
”5月危機”での彼の活動は見事だった 幻想にかんしては・・・私よりも抱かないが
必要なら創る賢さがある だから問題ない
シチリアの後進性を指摘し近代化を促す使者に対し
シチリアの人間は改善を望まない 自分自身を完璧だと思っているからだ
貧困よりも 虚栄心にこだわる
また、使者との別れ際にファブリツィオはこう呟きます、
山猫や獅子が支配する時代は去り ジャッカルや羊が取って代わる
そして 山猫 獅子 ジャッカル 羊のそれぞれが 自分を”地の塩”と思い込むのだ
山猫はサリーナ公爵家の紋章です。やはり、「山猫は眠らない」と言っているように思えます。
映画全体の1/3を占め、大勢の貴族が集う舞踏会は圧巻です。落日の前の一瞬の光芒、山猫と獅子の最後の饗宴です。貴族たちは浮かれ騒ぎ、タンクレディとアンジェリカは華麗に舞いますが、時代の足音を聞くファブリツィオは孤独です。舞踏会が終わり、家族を馬車で帰したファブリツィオは、時代という舞台から退場するようにひとりシチリアの闇に消えます。
イタリア版『戦争と平和』『風とともに去りぬ』です。
イタリア政府が大金をつぎ込んで完全復元版を作った名作だそうですが、イタリアの歴史、シチリアの風土を知らない人間には(私のこと)この映画の持つ意味は十分に理解できません。シチリア出身のジュゼッペ・トルナトーレは、『ニュー・シネマ・パラダイス』『マレーナ』『シチリア!シチリア!』などシチリアを舞台にした映画があり、『イル・ポスティーノ』『ゴッド・ファーザー』もそうです。シチリアには、映画(物語)の背景になる風土があるのかもしれません。
監督:ルキーノ・ヴィスコンティ
出演:バート・ランカスター アラン・ドロン クラウディア・カルディナーレ
出演:バート・ランカスター アラン・ドロン クラウディア・カルディナーレ
BSで久しぶりに観ました。西ヨーロッパ諸国はもとよりイスラムからノルマンまで絶えず侵略を受け続けたシチリアの歴史を実感するのは確かに難しいですね。ヴィスコンティ監督自身貴族なので没落間際の様子が真に迫っています。豪華な舞踏会ではろうそくが本当に熱くて皆扇子を仰ぎまくったとか。個人的にはバート・ランカスターの渋さにしびれました。
by Lee (2018-06-23 20:55)
いつもniceをありがとうございます。巨匠と言われる監督の映画は、毎度のことながら、分かりにくいですねぇ。
by べっちゃん (2018-06-23 22:38)