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ジョン・フォード モホークの太鼓(1939米) [日記(2018)]

モホークの太鼓 [DVD]  原題、Drums Along the Mohawk。モホークとは「モヒカン刈り」の語源となった米先住民モホーク族のことです。ジョン・フォードと言えば西部を舞台に先住民の登場する西部劇というイメージですが、『モフォークの太鼓』は独立戦争を舞台に移民がアメリカを開拓する西部劇前史です。当然、ジョン・フォードの映画には無くてはならないインディアン・先住民も登場しますが、この映画の先住民は少し変わっています。


モホーク1.jpg モホーク2.jpg
 
こんな風俗です、銃はマスケット銃      ジャーマンフラッツ

 1976年ニューヨーク州オールバニーから始まります。開拓農民ギルバート(ギル、ヘンリー・フォンダ)とマグダレナ(ラナ、クローデット・コルベール)は結婚し、モホーク川にありギルの開拓地に向かいます。アメリカ独立戦争は1775年に始まりますから、まさに真っ最中。新居に向かう途中の宿屋で、眼帯をつけた隻眼の男が現れ、ギルの住む地方は王党派(トーリー)かと聞き、ギルは愛国派だと答えます。男は、先住民がイギリスと手を組むと聞いたと言います。イギリスを支持した植民地の住人は王党派と呼ばれ、独立支持派は愛国者と呼ばれていたようです。『モホークの太鼓』は、ギルとラナの夫婦愛を軸に、愛国派vs.王党派+先住民の戦いが描かれることになります。

 独立戦争ですから、愛国派vs.王党派が戦争することに疑問は感じませんが、何故先住民が王党派と組むのか?。
 アメリカ独立戦争には2つ側面、東部のイギリス支配に対する戦争と西部のインディアンとの戦争があり、西部の戦争では先住民がイギリスと同盟して戦ったようです。

 王党派+先住民がギルたちの村を焼き払い、住民はジャーマンフラッツの砦に避難します。王党派+先住民は砦を囲み、独立戦争の縮図が展開されます。シャーマンムラッツを検索すると「ジャーマンフラッツへの攻撃」がヒットし,米国では有名な事件のようです。

1778年9月17日、イギリス軍を支持するロイヤリストとイロコイ連邦インディアンの混成部隊がジャーマンフラッツ前線開拓地(現在のニューヨーク州ハーキマーも含む)を攻撃した戦闘である。攻撃はロイヤリストとイロコイ連邦の混成軍によって行われ、全体の指揮はモホーク族指導者ジョセフ・ブラントが執った。彼ら家屋や納屋を破壊し、作物を傷め、家畜は自分たちで使うために連れ帰った。
 イロコイ連邦とは、
北アメリカ・ニューヨーク州北部のオンタリオ湖南岸とカナダにまたがって保留地を領有する、6つのインディアン部族により構成される部族国家集団」(wikipedia)

 先住民による連合体があったことを初めて知りました。地図で重ねると、ジャーマンフラッツはイロコイ連邦の領域内です。

Iroquois_5_Nation_Map_c1650.jpg

 先住民にすれば、オレの国に白人が勝手に入ってきたということになるのでしょう。イギリスと先住民の同盟に尽力したジョセフ・ブラントなるモホーク族のリーダーも存在するらしいです。

 1939年の映画ですから、この辺りの微妙な関係の描写はなく、ギリス軍と先住民はあくまでも敵役です。ギルが援軍を呼びに行く決死の行動によって砦は救われ、アメリカ合衆国が誕生し13の星の入った星条旗が砦に掲げられて幕となります。「いかにも」と言ったアメリカ映画ですが、「王党派+先住民」が最大の収穫です。『モホークの太鼓』は、先住民が打ち鳴らす太鼓だと思っていたら、独立軍が打つ太鼓だったわけです。

監督:ジョン・フォード
出演:ヘンリー・フォンダ クローデット・コルベール ジョン・キャラダイン

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サンフランシスコ人

「西部の戦争では先住民がイギリスと同盟して戦ったようです。」

西部といっても、色々な場所があります....

「ジョン・フォードの映画には無くてはならないインディアン・先住民も登場しますが」

『怒りの葡萄』に登場しなかった?


by サンフランシスコ人 (2018-11-08 04:00) 

べっちゃん

「西部」は、地図をご参照。原作、映画とも『怒りの葡萄』に先住民は登場しなかったように思います。
by べっちゃん (2018-11-09 08:02) 

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