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ジョン・フォード 長い灰色の線(1955米) [日記(2018)]

 原題”The Long Gray Line”。「長い灰色の線長い灰色の線 [DVD]」とは、その服装からウケストポイントの士官候補生を指します。士官学校の格闘主任助手を50年にわたって勤めたアイルランド移民マーティー・マー(タイロン・パワー)の話です。

 士官学校の食堂のウェイターとして働き、後に陸軍に入隊し士官学校の格闘主任に気に入られその助手となります。士官学校は士官を養成する学校ですから、卒業すれば少尉に任官されます。マーはに入学したわけではなく、昇進しても下士官。舞台はウエストポイントですが、描かれるのは士官候補生を支える格闘技主任の助手の50年の人生です。身分は伍長、軍曹で、士官学校アメフトチームの監督、世話役のようなものでしょう。とは言っても、華々しい活躍が描かれわけではありません。マーが主人公たる所以は、軍人を育て、彼らに父の如く慕われた裏方の一生を描くことで、(アメリカ人の大好きな)愛国や正義を裏から描く意図があったのでしょう。士官候補生ではなく一介の教官助手が主人公であることがこの映画のポイントです。

 もうひとつはアイルランド移民。ジョン・フォード自身アイルランド移民の子ですから、アメリカという国が移民によって成り立っていることを、マーティー・マーに仮託しているのでしょう。マーはアイルランド女性(モーリン・オハラ)と結婚し、ふたりは父親と弟を米国に呼び寄せています。

 先に来た移民が既得権に居座り、後から来る移民を排斥するドイツ移民の子孫は、『長い灰色の線』をどう見るでしょうね。

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 面白いと言うほどのことはありません。西部劇以外のジョン・フォードということであれば『怒りの葡萄』が見ごたえがあり、『タバコ・ロード』『静かなる男』『わが谷は緑なりき』があります。

監督:ジョン・フォード
出演:タイロン・パワー モーリン・オハラ

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