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映画 いとこ同志(1959仏) [日記(2018)]

いとこ同志 クロード・シャブロル監督 Blu-ray  原題、”Les Cousins”、邦題はそのまま「いとこ同士(志)」。生い立ちも性格も異なる従兄弟同士シャルル(ジェラール・ブラン)と ポール(ジャン=クロード・ブリアリ)の物語です。
 シャルルは大学に入学し、従兄弟ポールのアパートに同居することになります。前途洋々たる新入生の生活が始まる冒頭のBGMはまるで葬送曲のようで、この映画の結末を暗示しているかのようです。

いとこ同士
 ポールは広いフラットに住みスポーツカーを乗り回しすいう裕福な学生。ポールの子供を身ごもったという女性が現れますから女性関係も派手。連日パーティを開いて騒ぎ、遊び回っています。四畳半の下宿と60年安保という当時の日本の学生とは雲泥の差です。
 一方のシャルルは、地方からパリに出て来て裕福な従兄弟のフラットに間借りしますから、こちらは普通の学生。母親の期待に答えるため真面目に大学に通い、故郷に手紙を書き、愛読書はバルザック。自分の学生時代を振り返るとシャルルの方に感情移入しますね。
フロランス
 シャルルがフロランス(フローレンス、ジュリエット・メニエル)に一目惚れしたことから、ストーリーは動き出します。フロランスはポールのパーティの常連ですから、彼同様勉強より遊びが優先の学生。都会の洗練されたフロランスは、この地方から出てきた真面目なシャルルに興味を懐きます。これを聞いたポールの友人はフロランス言います、
大勢の男と寝ていて 童貞相手に処女気取りか
清純なフリで騙すのはよせ 寝るか関わらないかだ
 けっきょくフロランスはポールと関係を持ち、この事実を告げられたシャルルは、
恨んだりしない 順番を待つよ

何だそれは!。フロランスはポールのフラットで暮らし、フロランス、ポール、シャルル3人の奇妙な共同生活が始まります。
いとこ2.jpg いとこ3.jpg
アリとキリギリス
 学生ですから試験があります。資格試験なのか進級試験なのかよく分かりませんが、シャルルはこの試験のため一生懸命勉強してきたわけです。試験をひかえ、シャルルは試験勉強を勧めますが、ポールは
勉強が足りないぶんは 俺の巧妙なやり方で補える
おれはここぞというときの勝ち方を知っている
とうそぶくのみ。
 周囲は、シャルルは合格するだろうが、遊び呆けてきたポールは落第すると見ています。ところがポールは合格(詰まりは不正を働いた)。ポールの合格を祝ってドンチャン騒ぎのため、翌日の試験(シャルルの試験はポールより1日遅い)に備えて最後の追い込みが出来ずシャルルは不合格。

 「アリとキリギリス」の寓話を真逆でゆく結末に疑問をいだいたシャルルは、壁に掛かっている拳銃に1発だけ弾を込め眠っているポールにロシアンルーレット。弾は発射されずセーフ。ここまで来ると結末は想像がつきます。翌朝、ポールはソファーに放置された拳銃を手に取り、シャルルに向けて戯れに引き金を引きます。弾は発射されシャルルは死にます。

 ヌーベルバーグ版「アリとキリギリス」の映画です。

監督:クロード・シャブロル
出演:ジェラール・ブラン ポール:ジャン=クロード・ブリアリ ジュリエット・メニエル

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