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映画 グリーンブック(2018米) [日記 (2021)]

グリーンブック [Blu-ray]
 原題、Green Book。グリーンブックとは、黒人ドライバーのための黒人が泊まれるホテル、食事が出来るレストランを集めた「旅行ガイドブック」だそうです。

 1962年、NYのナイトクラブ ”コパカバーナ” の用心棒トニー・ヴァレロンガ( ヴィゴ・モーテンセン)は、改装でクラブが閉まったため職探しを始めます。ヴィゴ・モーテンセンというと『ロード・オブ・ザ・リング』のアラルゴンのイメージが強いですが、『グリーンブック』のモーテンセンは腹の出た中年。イメージがチョット違いますが、観ている間に中年太りのモーテンセンに感情移入してしまいます。

 トニーは、ピアニストのドク・シャーリー(マハーシャラ・アリ)のコンサート・ツアーの運転手兼ボディーガードに推薦されます。黒人のシャーリーがアメリカ南部を演奏して回るツアーですから、ボディーガードが必要だったわけです。雑用+食事・宿泊付きで週給100ドルの条件を、トニーは雑用なんか出来るか!と啖呵を切り、週給125ドルでX'masにはNYに帰ることを条件に引き受け、トニーとシャーリーの「ディープサウス」の旅、ロードムービーが始まります。

 ドク・シャーリーは、シカゴ交響楽団とも共演する実在の著名なピアニストで、一方のトニー・ヴァレロンガも実在の人物、二人がコンサートツアーで南部を回ったのも実話。ちなみに、『グリーンブック』の製作と脚本にはトニーの子息が参加しています。トニーは、後に『ゴッドファーザー』『グッドフェローズ』に端役やTVにも出演するようになったらしく、いずれもマフィア絡みですからトニー・ヴァレロンガの人となりが想像できます。従ってヴィゴ・モーテンセンも雑駁でヤクザっぽいイタリア系を演じることとなります。

 シャーリーは、チェロ、ベースを加えた「ドク・シャーリー・トリオ」を組んで有名ホテルのディナーショーを巡ります。人種差別の激しい南部のツアーですから、運転手のトニーは「グリーンブック」片手にシャーリーが泊まれるホテル、食事ができるレストランに「主人」シャーリーを案内するわけです。

 で、二人の旅はどのようなものであったのか?、シャーリーが出演するホテルでのエピソードです。NYでは有名なシャーリーも南部では、楽屋は物置、食事もホテルのレストランで取ることが出来ず、物置でとるか黒人専用レストランに行けと差別を受けます。誇り高いシャーリーは物置を拒否し、黒人専用レストランに行きます。そこで請われるままピアノを弾き、黒人の客がサックスにベース、ドラマで加わり即興のジャムセッションが演じられます。ディナーショーに大枚の金額を投じた白人に比べ、レストランの黒人客は無料でドク・シャーリーの演奏を楽しんだわけです。

 北部のツアーであれば3倍の出演料が取れるにもかかわらず、シャーリーがなぜこの旅を初めたのか?。「ドク・シャーリー・トリオ」の一人ロシア人が答えます、

6年前の1956年の話だ
ナット・キング・コールがここバーミンガムに招かれた
白人観客の前で謳う黒人は彼が初めてだった
何人かの男が、白人の歌を歌う舞台の彼を襲い 引きずり下ろし 袋叩きにした
ドクターがなぜこの旅に出たのかと尋ねたな?
才能だけでは十分じゃないんだ 勇気が人の心を変える
<ザ・ズタローヴェイ>(乾杯)

 この映画の面白さは、誇り高く洗練された黒人シャーリーと、雑駁で人のいいイタリア系白人トニーの「掛け合い」の面白さにあります。シャーリーは、トニーが奥さんに出す手紙を添削し、トニーは手掴みで食べるフライドチキンの味をシャーリーに教えます。黒人の主人と白人の運転手の『グリーンブック』は、人種差別がどうのという話ではなく、人の心は通じ合い交流によってお互いは変わり得るのだという話です。オススメの一本。
 白人の主人と黒人の運転手の登場する『ドライビング・ミス・デイジー』と似ています。

監督:ピーター・ファレリー
出演:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ

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