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映画 孤狼の血(2018日) [日記 (2021)]

孤狼の血 [DVD]
 久々に東映「ヤクザ映画」を観ました。今どき「ヤクザ映画」なんか作ってるんですね、東映が。基本は、1960年代の「広島抗争」を描いた『仁義なき戦い』です。『仁義なき戦い』は、暴力団同士の抗争を暴力団の側から描きましたが、『孤狼の血』は、これを刑事の視点から描きます。ヤクザ映画での警察はソレこそ刺身のツマみたいな存在でしたが、『孤狼の血』では堂々の主役。舞台は広島ですからセリフは広島弁で、かつての『仁義なき戦い』ファンは郷愁というか既視感というか、ワクワクしますw。惨殺死体に生首が出てきますから、その辺りが苦手な方は観ない方が良さそう、放送禁止用語も堂々と →けっこう笑います。

 暴力の世界に身を置く刑事ですから、刑事もヤクザまがいの”ワル”です。この悪徳刑事・大上(オオガミ)を演じるのが役所広司。大上の相棒で新米刑事の日岡を演じるのが松坂桃李。広島県呉市を思わせる「呉原市」で、暴力団を潰すために役所広司が抗争に割って入り、その捜査に同行する松坂桃李も次第に大上の悪に染まって「堕ちて」ゆくというストーリーです。どこかにあったような設定です。
 暴力の世界に身を置く大上の捜査は、日岡が「それは違法でしょう」と止めるのも聞かず、脅し、暴力、収賄、放火と何でもあり。真っ当な刑事では絵になりません、暴力刑事vs.暴力団となって初めて映画として成立するわけです。

 呉原市では五十子(いらこ)会傘下の加古村組と尾谷組が対立しています。キャストはこうなります、

 ・五十子(いらこ)会:会長=石橋蓮司 →加古村組:組長=嶋田久作
 ・尾谷組:組長=伊吹吾郎(収監中)、若頭=江口洋介
 ・呉原東署:刑事二課、暴力班捜査係主任=役所広司、同暴力班捜査係=松坂桃李
これに
クラブのママ里佳子=真木よう子、薬剤師、桃子=阿部純子、新聞記者=中村獅童が絡みます。

 加古村組系のサラ金(闇金)会社の金庫番が行方不明となり、これを殺人事件と考えた大上は捜査に乗り出します。加古村組と尾谷組が対立しているように、呉原東署の刑事たちも加古村組系と尾谷組系に分かれ、それぞれの組を陰で支援しているという暴力団と警察が持ちつ持たれつの関係。大上は尾谷組系で且つ五十子(いらこ)会傘下の右翼団体とも繋がっているという鵺(ヌエ)的存在。日岡はというと、大上の不正を暴いて葬り、大上が記す「捜査日記」を盗ませるため送り込んだ広島県警・監察官のスパイ。「捜査日記」には県警幹部と暴力団の癒着が記され、大上を潰さないと県警自体が潰れるという、暴力団vs.暴力団、暴力団vs.地元警察vs県警と二階建て三階建ての構図。

 役所広司演じるヒーローですから、ありきたりの悪徳刑事ではなく、ヤクザを飼い慣らしカタギ護るという大義名分を与えられます。『仁義なき戦い』の広能昌三(菅原文太)の大義名分に比べると幾分安っぽいですが。大上の大義名文を象徴するのがクラブ梨子のママ里佳子。里佳子が絡む14年前の加古村組幹部の殺人事件に大上が関わり、これを嗅ぎ付けた地元新聞によって大上は捜査から外され...。悪と悪、悪と善が絡み合ってなかなか良くできたストーリーです。

 日岡は、正義感から大上の違法捜査を逐一監察に報告し大上潰しに荷担しますが、次第に大上に染まり堕ちてゆきます。あんたのやっていることは綱渡りだと言う日岡に、大上は、

極道と関わる人間は曲芸師みたいなもんや。綱の上に乗ったら最後、極道の側に傾き過ぎても、警察の側に傾き過ぎても落っこちてしまうけのぉ。落ちんようにするには歩き続けるしかない。落ちて死なんように前に進むしかない、と。

 進む先に何が待っているのか?。

監督:白石和彌
原作:柚月裕子
出演:役所広司、松坂桃李、真木よう子、石橋蓮司、江口洋介

タグ:映画
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