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新海誠を観る (1) [日記 (2022)]

 いい歳のオッサンが新海誠でもないのですが、子供達が『すずめの戸締まり』を観に行って我家では新海誠がマイブーム。PrimeVideoにあるので観てみました。

雲のむこう、約束の場所(2004)
秒速5センチメートル(2007)
星を追う子ども(2011)
言の葉の庭2013
君の名は。(2016)
天気の子(2019) ・・・の6本

雲のむこう、約束の場所 [DVD] 雲のむこう、約束の場所(2004)
 1996年津軽。北海道は共産圏?(ユニオン)に占領されてエゾ(蝦夷)と呼ばれ、日本が南北に分断されている世界の話です。敗戦によって北海道がソ連に支配されている日本は、在り得たかもしれないもうひとつの世界です。
 その世界で、中学の浩紀と拓也はエゾに渡ろうと廃屋で飛行機を作っています(中学生に飛行機が作れるかどうかは別にして)。エゾにはユニオンが作った天まで届くが聳え、その塔を目指して飛ぼうというわけです。塔は、この世界と並行して存在するパラレルワールドからの情報を受信する巨大なアンテナだといいます。塔を作った人物の孫・佐由理が登場し、”boy meets girl”となります。

 南北に分断された日本、統一のために非合法活動をする組織、パラレルワールドとスケールは壮大です。浩紀と拓也は、中学時代に約束した佐由理を飛行機で塔に連れてゆくことに拘り、分断された日本はオザナリ。もっとも、中高生をマーケットとしたアニメにでは、分断より”boy meets gairl”の方が重要なのかも知れません。パラレルワールドの方はと言うと、佐由理は塔からの情報を受信しその情報量に圧倒され昏睡状態に陥ります。佐由理を飛行機で「約束の場所」に連れて行き、佐由理は目覚め、塔を爆破して「お終い」。分断とパラレルワールドは何だったんだ?、というアニメです。

秒速5センチメートル 通常版 [DVD] 速5センチメートル(2007)
 タイトルの「秒速5センチメートル」とは、さくらの花びらが落下するスピードだそうです。「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」と、主人公、貴樹を巡る愛のビルトゥングスロマンの三部構成です。

・13歳「桜花抄」明里、栃木県岩船町
 明里(あかり)は、「秒速5センチメートル」とはさくらの花びらが落下するスピードはだと、貴樹に教えます。明里が栃木県岩船町に引っ越し、これも鹿児島に引っ越すことが決まった貴樹が明里に会いに行く話です。雪で列車は大幅に遅れ、岩船町に着いたのは夜の11時。貴樹は4時間待った明里と再会し、付近の小屋で一夜を明かします。幼い恋と言ってしまえばそれまでですが、「明里を守りたい」と云う貴樹の想いは一途です。

・17歳「コスモナウト」花苗、種子島
 高校3年生の花苗(かなえ)の物語です。花苗の片思いの相手が貴樹で花苗の思いの丈がモノローグで進行します。種子島の宇宙センターから打ち上げられるロケットが何度も描かれます。宇宙に飛び出すロケットは、17歳の少年少女の抱く夢や希望の象徴なのでしょう。貴樹は東京の大学を目指しますが、花苗は進路が決まらず貴樹への想いとの間で揺れ動いています。花苗は告白を決心をしますが、「手の届かない高みを目指している」貴樹を前に打ち明けられず(背景はロケット打ち上げ)、その想いを抱いて眠りに突きます。なかなか切ない話です。

・社会人「秒速5センチメートル」理紗、明里、花苗、東京
 社会人とあった貴樹は、漠然とした不安で毎日をやり過ごしています。3年間付き合っていた理紗は、「1000回にわたるメールのやり取りをしたとしても、心は1センチほどしか近づけなかった」とメールを最後に去ってゆきます。明里は結婚を控えているらしい。

いつでも捜してしまうどっかに君の笑顔を
急行待ちの踏切あたり
こんなとこにいるはずもないのに
命が繰り返すならば何度も君のもとへ
欲しいものなど もう何もない
君のほかに大切なものなど

 山崎まさよし ”One more time,One more chance”をバックに『秒速5センチメートル』は終わります。《君》とは明里のことなんでしょう。

劇場アニメーション『星を追う子ども』 [DVD] 星を追う子ども(2011)
 TVアニメの劇場版と言った雰囲気で、新海誠が商業主義に阿った一編です。
 中学生?の明日菜は怪物に出会い、異世界アガルタから来たジュンに助けられます。アガルタとは古代からある地下文明で、人類はアガルタから富と文明を吸収して発展したのですが、アガルタは人類を敵と見なして門を閉じ、その存在は忘れられています。この地下文明伝説と、『古事記』のイザナキがイザナミを黄泉の国に尋ねる神話がベースとなり、明日菜は教師の森崎が亡き妻を黄泉の国=アガルタに探しに行く旅に同行します。明日菜が出会うアガルタの不思議と冒険がこのアニメのメインです。神々が乗る船、夷族、死の門と道具立ては揃っていますが、『雲のむこう』同様に物語として破綻しています。ジブリのパクリだというレビューもありますが、宮崎駿の神話世界とは開きがあります。
 マンガ、コミック、アニメの括りでの神話世界は、コミック版『風の谷のナウシカ』にトドメを刺します(赤坂憲雄『ナウシカ考 風の谷の黙示録』が最良の参考書)。
星2.jpg 星.jpg
 この3編のなかでは、個人的には「秒速5センチメートル」がおすすめ。引き続き「言の葉の庭」以下を観てみます。

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