佐藤 優 国家の罠 新潮社 [日記(2005)]
↓で書いた本年度毎日出版文化賞受賞作.著者は鈴木宗男事件で名を馳せたあの「外務省のラスプーチン」佐藤 優.どうせ自己弁護の内幕ものと思って手に取ることもなかったが,毎日出版文化賞の受賞を機に読んでみた.
第一級のエンターテイメント?である.田中真紀子の外相就任から宗男事件までの経緯を対露秘密交渉を交えて書いた第一~三章.逮捕から拘留・取り調べ,保釈とその後を書いた第四~六章.おおまかに二部仕立てである.
鈴木宗男事件が,一般には伺い知ることの出来ない霞ヶ関と永田町の事件であり,事件の背景に外交問題があるため真実は藪の中である.我々が知らされているのは,社民党議員が「疑惑の総合商社」と鈴木宗男を批判した国会証人喚問のニュース映像であり,宗男ハウス,外務省のラスプーチンなどの報道である.鈴木宗男と佐藤 優が逮捕され事件は忘れ去られた.一連の事件は,外務省に刺さったトゲ田中真紀子,トゲを抜くために利用され,トゲが抜けた後その影響力を削ぐために葬られた鈴木宗男,そのあおりを受けた佐藤 優.一般に理解されているこの図式は非常に分かりやすい.