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2005年度 毎日出版文化賞 [日記(2005)]

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/03/26
  • メディア: 単行本


本年の毎日出版文化賞に村上龍の「半島を出よ」と佐藤優の「国家の罠」が選ばれた。毎日出版文化賞といえば、どちらかといえば人文科学系の堅い本が多いと思うが、この二つは正直びっくり。「国家の罠」は読んでいないが、著者はあの鈴木宗男問題で背任罪で外務省を追われた官僚であり、「半島を出よ」は確かに面白かったが、両者ともどちらかといえば時事的な主題であり、正直毎日出版文化賞のようなものを受賞するとは予想外である。
受賞理由は、
「国家の罠」については、『「国策捜査」の罠に落ちた政治的確信犯として自らを位置づけ、その正当性を主張する国家に対する告発の書・・・』
「半島を出よ」については、『村上氏は北朝鮮という「他者」の仮構によって日本という「システム」の機能的な弱点を徹底的に考え抜き、今日の時代状況を壮大な思考実験として提示している。』
であるらしい。
読書日記 →http://blog.so-net.ne.jp/e-tsurezure/archive/20050509


世界遺産 ヴァルベルイの無線電信局 [日記(2005)]


世界遺産 ヴァルベルイの無線電信局(スウェーデン) 10月23日放送
Radiostationen Grimeton SAQ
 
 この手のものが好きで毎週欠かさず観ている.世界遺産といえば自然か歴史的建造物が多いが、「無線電信局」類は初めてであろう。現代の感覚と全く異なる無線電信局の姿に圧倒される.200kw交流発電機,380mおきに建てられ高さ127mの6基のアンテナ。1923年完成の送信棟は「80年前に設置された無線局内部の機器類は全て、当時と同じ状態で保全されており、今でも世界に向けて長波の電波を送ることができる」らしい。「19世紀末から20世紀始めにかけて、スウェーデン国民の1/4が新大陸に渡ったため大西洋を越える無線が必要となった」ために建設された。
 日本にも同様な施設があるらしい。宇佐美送信所関連資料集
刈谷市の無線の鉄塔
 ヨーロッパとの無線通信を目的に設置され,アンテナは250m高,1760m長、出力500 kWという巨大な通信施設である.1950年よりアメリカ海軍に接収され、1994年に返還された.1993年まで17.842kHzの超長波で原潜との交信に使われていた.送信機は出力700kWの高周波発電機で,ヴァルベルイを上回る.残念ながら鉄塔は1995年に撤去されたらしい. 残っていれば間違いなく「世界遺産」だろう.


宮本 常一 忘れられた日本人 岩波文庫 [日記(2005)]

忘れられた日本人

忘れられた日本人

  • 作者: 宮本 常一
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1984/01
  • メディア: 文庫

 「旅する巨人」で宮本常一に対する偏見、イメージができあがったためか、素直に読めない。有名(らしい)な「土佐源氏」を読んでも「梶田富五郎翁」を読んでも、物語より語り部より宮本常一を常に意識してしまう。そこには丸い眼鏡をかけ、じっと耳を傾ける40代の男がいる。それはファーブルが南フランスの田舎の丘陵で地面には這いつくばるようにじっとタマコロガシを観察している姿である。「旅する巨人」よりも先に読むべきであった。
 網野善彦の解説を読むと、本書を文学作品として読んでもよい、とある。そういえば、昔読んだ柳田国男も文学全集の一冊だった。宮本常一版「街道をゆく」とかんがえれば、楽しめる。

佐野真一氏と渋沢敬三に敬意を表し、かつ紀行文として★★★★☆。