宮本 常一 忘れられた日本人 岩波文庫 [日記(2005)]
「旅する巨人」で宮本常一に対する偏見、イメージができあがったためか、素直に読めない。有名(らしい)な「土佐源氏」を読んでも「梶田富五郎翁」を読んでも、物語より語り部より宮本常一を常に意識してしまう。そこには丸い眼鏡をかけ、じっと耳を傾ける40代の男がいる。それはファーブルが南フランスの田舎の丘陵で地面には這いつくばるようにじっとタマコロガシを観察している姿である。「旅する巨人」よりも先に読むべきであった。
網野善彦の解説を読むと、本書を文学作品として読んでもよい、とある。そういえば、昔読んだ柳田国男も文学全集の一冊だった。宮本常一版「街道をゆく」とかんがえれば、楽しめる。
佐野真一氏と渋沢敬三に敬意を表し、かつ紀行文として★★★★☆。
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