映画 荒野の用心棒(1964伊) [日記(2009)]
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』が素晴らしかったので、セルジオ・レオーネの出世作『荒野の用心棒』を思わず借りてきました。エンニオ・モリコーネの音楽とともに忘れられない西部劇です。クリント・イーストウッドが本格的に映画に進出するきっかけとなった一作です。
初めて見たとき(ずっと昔)、ジョン・ウェインやヘンリー・フォンダの西部劇と比べて違和感がありましたが、ソンブレロと白壁の建物が独特の雰囲気を出して新鮮でした。何と云っても、全体を覆う乾いたトーンと(当時としては)リアルな暴力シーンは、哀調を帯びたエンニオ・モリコーネの音楽とともに一時代を作った記念作です。
黒澤明の『用心棒』の剽窃であることは有名ですが、これはこれで立派なリメイクでしょう。対立する二つのヤクザ一家をけしかけて共倒れに持ち込み、街に平和をもたらす筋書きはそっくりそのまま。東野英治郎が演じた飯屋の親父も、酒場の親父として登場、棺桶屋も居ますね。黒澤『用心棒』で凄みを見せた仲代達矢はラモンに、山田五十鈴はバクスターのお奥さんに置き換えられています(仲代達矢、山田五十鈴の方が役者が上?)。これは黒澤プロに文句を付けられても仕方が無いでしょう。『用心棒』にあって『荒野の用心棒』に無いものは、ユーモア。『荒野の用心棒』もそこそこリアルですが哀しいかな拳銃とライフル、『用心棒』の三船敏郎と仲代の一騎打ちの殺陣には負けます。そのうち、クロサワを観てみようと思います。
なんだかんだ言っても、名作でしょうね。昔の西部劇と言えば、ジェーン・フォンダ、リー・マービンでナット・キング・コールがバンジョー弾いて語りつとめる『キャット・バルー』というのが印象に残ってますが、久々にこれも見てみたいものです。
【追記】
ダシール・ハメットの『血の収穫』(1929年)と黒澤『用心棒』がよく似ているらしいです。
監督:セルジオ・レオーネ
出演者:
クリント・イーストウッド
マリアンネ・コッホ
ジャン・マリア・ヴォロンテ
コメント 0