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映画 潜水服は蝶の夢を見る(2007仏米) [日記(2010)]

潜水服は蝶の夢を見る 特別版【初回限定生産】 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • メディア: DVD
 この題名は『電気羊はアンドロイドの夢をみるか』を連想してしまいますが、全く違いますね。面白いかと聞かれれば、昨今のヒット作の基準では、面白いとは言い難い映画です。

 脳梗塞で倒れたELLEの編集長ジャン=ドゥーが綴った手記の映画化です。その手記とは、脳梗塞により左のまぶた以外一切の運動機能を失い、まぶたを動かすことによって書き上げたという驚くべきもの。yesは瞬き1回、noは瞬き2回、頻出度の高いアルファベットを順番に読み上げ、目指すアルファベットにたどり着いた時に、まぶたを1回動かして単語を綴るという、気の遠くなる作業によって生まれたものです。

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 映画は、有名女性誌の編集長という華やかな生活から一転、生ける屍のごとくなったジャンの生活を、彼の思い出をフラッシュバックで挟みながら描いてます。このジャン=ドゥーの目線で彼を看護する人々、彼を見舞う人々の様子、そしてジャンがそれをどう捉えたか、何を感じたかを克明に描き出しています。ジャンの思いは、(実際には喋れませんから)独白と言う形でナレーションが入りますが、このやり取りは(不謹慎にも)面白いです。

 ジャンは所謂バツイチで、3人の子供は妻のもとで育てられています。この妻が見舞いに来た時、愛人からジャンに電話が入ります。ジャンの唯一のコミュニケーション手段は左目の瞬きであり、これは第三者の仲介によって行われます。ジャンと愛人のコミュニケーションを元妻が仲介するという、何とも(滑稽で)深刻なシーンがあります。ジャンはどう答えるたか?・・・書きませんが、このシーンは人間関係とコミュニケーションの本質的な何かを描いているようにも思うのですが。感心しました。

 脳梗塞によりあらゆる運動機能が奪われましたが、ジャンに残されたものは左まぶたの瞬きと『記憶と創造力』。この記憶と創造力によって彼は時空を超えて旅をすることができます。肉体は潜水服に閉じ込められても、彼の想像力は蝶のように羽ばたく、これが『潜水服は蝶の夢を見る』謂われでしょう。人間の存在の根源的な部分を象徴していると思います。
 海に落ちる氷河が崩れるシーンが挿入されます。ラストは、このシーンの逆回しで終わりますが、これも象徴的です。「面白いとは言い難い」と書きましたが、見方によってたいへん面白い映画です。

 主演のマチュー・アマルリックですが、片眼の演技は大変だったろうと思います。何処かで見たことがあると思ったのですが、『007 慰めの報酬』で敵役をやっています。制作のキャスリーン・ケネディですが、スピルバーグではお馴染みで、このネタバレ映画館でも『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド』『シンドラーのリスト』『シービスケット』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 』と結構見ています。

監督:ジュリアン・シュナーベル
制作:キャスリーン・ケネディ
出演:
マチュー・アマルリック
エマニュエル・セニエ
マリ=ジョゼ・クローズ
アンヌ・コンシニ


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