BSシネマ さよならをもう一度（1961米仏）

　イングリッド・バーグマン出演の映画は、「カサブランカ（1942）」「誰が為に鐘は鳴る（1943）」「ガス燈（1944）」「オリエント急行殺人事件（1974）」「秋のソナタ（1978）」を見ています。「ガス燈 」の頃は20代で匂うような美貌、「秋のソナタ」は貫禄の60代で30代40代がなかったのですが、都合よく1961年の「さよならをもう一度」が放映されていたので見ました。

　さすがです→バーグンマンの美貌。40歳のバーグマンに25歳のアンソニー・パーキンスが「惑う」という映画です。バーグマン御年46歳、成熟した美貌は輝くばかりでアンソニー・パーキンスでなくとも惑いますね。

　原作がフランスの小説家フランソワーズ・サガンの「ブラームスはお好き」だそうですが、いかにもフランスらしい洒落た映画です。舞台はパリ、ポーラ（イングリッド・バーグマン）とロジェ（イヴ・モンタン）の中年のカップルにフィリップ（アンソニー・パーキンス）というアメリカの青年がからむ三角関係のラブロマンスです。ポーラとロジェは、結婚せずに週末だけ会うというきままな関係を続けています。ロジェは、ポーラとの関係を続けながら若い娘と適当に浮気をしているといういかにもフランス風遊び人。度々変わる浮気相手の名前が覚えられず、すべてメージーという名前で呼ぶ辺りは笑いますが、イタリア出身のフランス人イヴ・モンタンが演じるといかにもです。

　 

　富豪の息子でパリで法律事務所に務めているフィリップがポーラに一目惚れ。ロジェの存在も15歳の歳の差をものともせず、押しまくります。一方、フィリップをやんわりと受け流すポーラと、ロジェ。この辺りは大人と子供、新大陸vs.ヨーロッパで、男女関係にも歴史と伝統のあるフランスの優越感がほの見えます。フィリップスとロジェ、ポーラでは役者が違い過ぎます。

 

　

 

以下完全ネタバレです（全部書いてしまわないと、バーグマンの魅力を伝えきれません）。

　ところが、ロジェが週末に浮気したためポーラはフィリップとデートをすることとなります。フィリップスが「ブラームスはお好き？」と聞いたことで、ふたりが出かけたのはブラームスの音楽会。浮気なロジェに振り回されて思い悩むポーラ、40歳（実年齢は46歳）のバーグマンの想い乱れる演技は秀逸です。20代のバーグマンも綺麗ですが、歳を重ねた大人の女性が恋に悩むバーグマンにはため息です（ややオーバー）。

　フランスの浮気な男ロジェを演じるイヴ・モンタンも堂に入ったもの。もっともイヴ・モンタンには、「Z」「告白」「戒厳令」という政治色の濃いシリアスな映画もありますから、地でいったわけでも無いでしょう。アンソニー・パーキンスはと云うと、これはもう25歳のアメリカ人です。と思わせる辺りがこの俳優を持ってきた配役の妙かもしれません。

　ロジェが10日間の出張に出かけますが、これをロジェの浮気旅行と誤解したポーラはフィリップと同棲を始め、ふたりの仲は破局を迎えます。ロジェはポーラを失って初めてかけがえのない存在であることを知り、ポーラもまたロジェを求めていることに気付きます。ポーラとフィリップ、ロジェとメージー3号？（浮気相手）の2組のカップルは偶然にクラブで出会いポーラとロジェの想いが通じ合います。

これです

 

　 

 

2組は接近し、ロジェはフィリップの肩に置いたポーラの手を握りしめるんです。

　で結局、ポーラはフィリップとの同棲を解消して元の鞘におさまり、ロジェは結婚を申し込みます。振られたフィリップは「オレは結局キューピッドだったわけか」とつぶやきますが、残念ながらそうです（笑。フィリップの破局、ロジェとの復縁も、ストーリーとしては単純ですが、最後までロジェとフィリップの間で揺れ動くポーラは、これもため息です。

　結婚して安らぎ取り戻したポーラですが、週末にロジェと出かける約束が反故なります。またもロジェの浮気の虫が動き出したようで、ロジェと食事に行くためにした化粧を落とすポーラの姿で幕。フランス映画らしいオチです。

　フランス映画とイングリッド・バーグマンを堪能できます、お薦めです。監督のアナトール・リトヴァクとイングリッド・バーグマンのコンビで「追想」という映画あるそうなので、見てみます。

監督：アナトール・リトヴァク
出演：イングリッド・バーグマン　イヴ・モンタン　アンソニー・パーキンス

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コメント 2

トレンチコートを着たイングリッド・バーグマン、美しかったなぁ。
by k_iga (2012-07-19 03:21) 

次は「追想」あたりを見てみたいですね。
by べっちゃん (2012-07-19 20:27)