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BSシネマ 居酒屋兆治(1983日) [日記(2013)]

居酒屋兆治【Blu-ray】
 年末のNHK・BS、健さんシリーズの1本です。健さんは脱サラして函館で居酒屋「兆治」をやっているという設定。元サラリーマンの健さんも珍しいのではないでしょうか。白いウワッパリ着て焼き鳥の仕込みをしますが、串を打つ背中姿も“ 健さん”です。

 で、どんな過去があるんだろうと興味津々。主人公英治(高倉健)は高校時代は甲子園を期待された投手でしたが、肩を壊して挫折。地元造船会社に入社し、総務課長?になりますが、人員整理で首切り役を押し付けられ“そんなもん出来るか!”と言ったかどうかは別にして辞職。妻(加藤登紀子)とふたりで焼き鳥屋をやっています。
 この居酒屋「兆治」に集う馴染み客と英治との係わり、馴染み客の人生とそれを見つめる英治の思いが物語の中心です。監督は降旗康男で、『駅 STATION』で3人の女性を描くことで高倉健と云う個性を炙り出そうとした手法が『居酒屋兆治』でも使われています。と云うことで、健さんはあまり演技をしません(笑。
 どんな客が集うのかというと、

・田中邦衛 ⇒高校時代英治とバッテリーを組んでいた肉屋の主人。
・伊丹十三 ⇒高校時代の友人でタクシー会社の副社長。酒癖が悪く何かと云うと英治に絡む。
・池部良 ⇒出ました!『昭和残侠伝』の相棒です。いつも片隅で飲んでいる実直そうなサラリーマン。
・小松政夫 ⇒陽気なタクシー運転手。
・ちあきなおみ ⇒ 「兆治」の向かいの飲み屋の女将。

などなどキリがありませんが...。
 といった常連が集い、健さんは黙々と焼き鳥を焼き、加藤登紀子は酒の燗を付けるという「兆治」の日常。

 この平穏な「兆治」の日常を破るのが、健さんの元恋人大原麗子。健さんと別れて牧場主の左とん平と結婚しますが、健さんが忘れられずに家出、すすきのでホステスをしています。大原麗子は、牧場が火事になった夜に出奔、放火の疑いがかけられ、元恋人ということで健さんにも警察の目が光るという状況にあります...。
 この大原麗子との悲恋が健さんの背負う過去にさらに箔を付けます。別れた理由というのがふるっています。ふたりとも貧乏に堕ちるよりどちらかひとりでも助かったほうがいいと、大原麗子は牧場主と結婚したらしいです。昭和初期ならまだしも、古くても健さんが『昭和残侠伝』『網走番外地』に出演している頃の話だと思うので、それはちょっと無いでしょうね。ホステスになった大原麗子は自暴自棄の酒浸りで命を縮め、健さんが見つけた時には、健さんとのツーショットを握りしめて冷たくなっています。

 とまぁ、大物ベテランを配して高倉健が光る映画を目指したわけでしょうが、大原麗子の登場でぶち壊しになったような気がします。健さんの過去が、肩を壊した元高校球児、人員整理を拒否した元総務課長、悲恋?ではちょっと軽いのではないでしょうか?。で、高倉健を見たいと云う方以外にはあまりお薦めできません。

監督:降旗康男
出演: 加藤登紀子 大原麗子

タグ:BSシネマ
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