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映画 オーメン(1976米) [日記(2013)]

オーメン [Blu-ray]
 先日ドストエフスキーの『罪と罰』を読んでいて、主人公のラスコーリニコフのフルネーム“ロジオン・ロマーノヴィチ・ラスコーリニコフ”で露語のイニシャルがppp、反転させると666。これは「ヨハネの黙示録」の獣の数字であるとかいう解説記事に出会い、ダミアンだ!『オーメン』だ!⇒で見てみました(短絡的)。
 omenを辞書であたると、前兆、兆し、警告と出ます。当然、死が蒼ざめた馬に乗って現れ、七人の天使がラッパを吹き鳴らすあの「黙示録」の世界の「兆し」。これは面白そう。

 ロバート(グレゴリー・ペック)の妻キャサリン(リー・レミック)は赤ん坊を死産します。ロバートは、同じ時刻に生まれた男の子を亡くなった赤ん坊の代わりに貰い受け、我が子として育てます。ダミアンの誕生です。ロバートは駐英大使としてロンドンに赴任し、ロンドンの地で事件が発生します。こういうホラーは、NYのど真ん中では雰囲気が違う、ロンドンだということになったんだと思います。赤ん坊を貰ったのもローマと云う設定で、キリスト教がからむホラーとなると新大陸では役不足。『クトゥルー神話』ほど古いと(ラブクラフトの舞台は米国だった?)何処でもいいのでしょうが、歴史の重みとなるとヨーロッパです。
 で、事件と云うのは、

事件1:ダミアンのベビーシターが、「ダミアンわたしを見て!」とか何とか言って公衆の前で首吊り自殺を図る。
事件2:頼みもしないのに新たなベビーシッターが現れ、ダミアンを守るが如く山犬が住み着く。
事件3:キャサリンがダミアンを動物園に連れて行ったところ、キリンは逃げ出しヒヒに襲われる。
事件4:神父が現れ、ダミアンの母親は山犬でありダミアンは「悪魔の子」であるとを告げる。また、キャサリンの妊娠を明かし、ダミアンを殺さないとキャサリンの命が危ないことを予言し、イスラエルのエクソシストを訪ねることを勧める。
事件5:ダミアンのイタズラによってキャサリンは2階から落ち、流産する。これは神父の予言通りだった。

 ここに来て、ロバートもキャサリンも何かがおかしいと感じ始めますが。ロバート一家をフォローしていたカメラマンが登場します。カメラマンが撮影した生前のベビーシターの写真には首を吊ったロープの影が写り、今また神父の写真にも身体を貫く影が映り込んでいます。そして写真の通り、神父は教会の塔から落ちてきた避雷針に身体を刺し貫かれて死にます。さらに、カメラマン自身の写真にも不可解な影が映り込んでいます。

 ここまでがネタ振りで、ここからロバート+カメラマン(デビッド・ワーナー)vs.悪魔=ダミアンの戦いが始まります。まずはダミアン出生の秘密を求めてふたりが向かったのは出生の地ローマ。ダミアンを亡くなったわが子の代わりに斡旋した神父を探し出し、ダミアンの母親であると云う山犬の手がかりを求めます。そして墓地で亡くなったロバートの子供の墓を発見し、その傍らには亡くなった母親の墓石。墓石の下に山犬の骨を発見します。ダミアンは神父の言葉とおり悪魔の子供だったのか?。

 ローマに帰ったロバートを待っていたのは、妻キャサリンの死の報せでした。ダミアンによって階下に落ち入院していたキャサリンは、神父の予言通りダミアンのベビーシッターによって殺害されたのです。ダミアンはやはり悪魔の子だ!。ふたりはイスラエルのエクソシストを訪ねます。エクスシストは、ダミアンが悪魔の子であれば身体に“666”のアザ=獣の数字が刻まれているはずだと言い、悪魔の子を殺す短剣をロバートに渡します。出ました666です!。ダミアンの身体に666のアザの無いことは、わが子ですからロバートは知っています。すべては妄想ではないかと考えるロバートの前で、またもカメラマンの写真に映り込んだ予言が現実のものとなります(これはギョッとします)。果たしてダミアンの身体に獣数字のアザは在るのか?、ロバートはデミアンを殺すことが出来るのか?...。

 面白いのは、オカルト、ホラーに分類されるこの映画に、オドロオドロしい怪物も悪魔も登場しないことです。ダミアンにもセリフらしいセリフは無く、ニコッと微笑むだけで牙を剥くこともありません。大人が悪魔だ悪魔だとダミアンの廻りで騒ぐだけ。これでホラーとなるんですから不思議ですが、秘密は音です。映像と音が「出るぞ出るぞ」という想像力をかきたて観客の恐怖心を煽り立てます。『オーメン』は、この観客の自縄自縛、恐怖のマスターベーション?で出来上がっている映画です。

オーメン2/ダミアン』(1978年)
『オーメン/最後の闘争』(1981年)
『オーメン』(2006年)・・・リメイク

人気あるんですねぇ。ダミアンはどうなるんだ?『オーメン2』も見てみます。主演は、『アラバマ物語』(これ必見です)、『マッケンナの黄金』のグレゴリー・ペック、監督は『リーサル・ウェポン』『タイムライン』『16ブロックリチャード・ドナー。

監督:リチャード・ドナー
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:グレゴリー・ペック リー・レミック デビッド・ワーナー

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