SSブログ

映画 パリ20区、僕たちのクラス(2008仏) [日記(2013)]

パリ20区、僕たちのクラス [DVD] 教室へ
 中学校の先生フランソワ・ベゴドーの小説『教室へ』の映画化で、著者が脚本に参加し主演しているという珍しい映画です。フランソワ・ベゴドーさんは、今でもこの映画の様に教師なんでしょうか?。

 映画としては面白くも何ともありません。といちおう書きます。
  舞台はパリ20区にある公立中学校。映画は事件や大きなドラマがあるわけでもなく、国語の教師フランソワ先生の担任するクラスの授業風景をひたすら描きます。登場人物は、この先生と校長、同僚教師と24人の生徒だけ。
 「パリ20区」「学校」と言うだけで、フランス人にはピンとくるのでしょうね。検索すると、移民の多い下町で、あまり治安もよろしくないとのこと。「パリ20区」の環境を反映して、24人の生徒の多彩さにまずビックリします。多彩と言っても生徒の個性ではなく、アルジェリア、リマ、中国など人種の多様さです。日本ではちょっと考えられません。

 保護者面談というのもあるのですが、フランス語が話せない親に生徒の兄が通訳として加わったり、生徒自身が通訳するケースさえあります。中国人の生徒は、母親の不法滞在が発覚し本国送還、その弁護士費用捻出のために教師が職員会議で寄付を募るシーンがあります。映画と言ってしまえばそれまでですが、凄いと言う他はありません。学期末に、生徒ひとりひとりがこの1年に学んだことを発表するシーンがあり、移民と思われる黒人の少女は授業が全く分からなかった、何も学ばなかったと告白します。

 物理か何かの教師が愚痴いています。授業は聴いていない、宿題はしない、勝手な行動を取る、あいつらはクソだとか何だとか言ってますが、フランスでも学校は荒廃しているようです。フランソワ先生のクラスでも、かってにお喋りはする、ガムを噛む、教科書は持ってこない、こんな生徒を相手にする先生は大変です。授業は、自己紹介の作文を書かせたり「アンネの日記」を読んで感想を述べさせたり、型にはまらずかなり自由裁量が許されている様ですが、フランソワ先生はフランス語が満足に読み書き出来ない生徒を相手にフランス語の「時制」を教えるわけです。苦労がしのばれます。

 先生も「キレル」ことがあるようで、フランソワ先生も女生徒に「売春婦」といった言葉を投げつけて問題となります。その騒ぎの際中に男子生徒が教室を飛び出し、その際に鞄が当たって女子生徒の顔を傷つけると云う事件が起こります。懲罰委員会が開かれたりなんだかんだで...。

 最後は、先生と生徒が校庭でサッカーにうち興じるシーンで幕。2時間に及ぶ映画で描かれた問題は何も解決されていません。これが「パリ20区、僕たちのクラス」の実態なんだよ、と云う映画です。明日から夏休みに入るという学期末の午後、先生と生徒が一緒にサッカーをする、これが希望なんでしょう。

 殆どドキュメンタリーの様な映画で、映画としては面白くも何ともありません。フランソワ先生も24人の生徒も皆素人らしいです。これが演技かと思うほど生き生きしています。授業中のふて腐れた態度など、演技なのか「地」なのか分かりません。
 彼彼女等の演技とともに、「学校」「教育」が抱える問題に、「面白く」はありませんが感動します。
 でお薦めかと云うと、かなり迷います。教育関係の方には絶対のお薦めなんですが。 

監督:ローラン・カンテ
出演:フランソワ・ベゴドー

nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0