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BSシネマ サブウェイ(1984仏) [日記(2013)]

サブウェイ ―デジタル・レストア・バージョン― [DVD]
 リュック・ベッソンというと、何と言っても、殺し屋と風変わりな少女の交流を描いた『レオン』が圧倒的に面白いです。『アンジェラ』あたりで才能を使い果たしたのか、『アーサーとミニモイの不思議な国』3部作で引退するとか言いながら、『アデル/ファラオと復活の秘薬』などという駄作を作ったり、今度はスーチーさんを描いた映画です。
 という、リュック・ベッソン26歳の出世作だそうです。

 冒頭から派手なカーチェイスがくり広げられます。追う方も追われる方もタキシード姿、さすがベッソン!。追われるフレッド(クリストファー・ランバート)の車はトンネルに潜り、地下鉄ホームの人混みに紛れ込んで逃走。何が何だかよく分かりませんが、フレッドはどうやら泥棒だったようで、大邸宅の金庫を破って書類を盗みだして逃亡を図りカーチェイスとなったようです。

 フレッドは書類を買い取れと、持ち主を地下駅に呼び出します。現れたのはエレナ(イザベル・アジャーニ)。たいてい、この書類の背景が映画のストーリーと絡んでくるのですが、一切関係がありません。フレッドは、エレナに会いたいために書類を盗んだようです。じゃぁフレッドとエレナの間には深い謂れがあるのかというと、それもなし。単に、パーティーを開く準備を手伝ってくれたのでフレッドを招待した、という関係。
 要は、フレッドとエレナのふたりが地下鉄駅で出会えばいいわけで、そのためにカーチェイスの前段を作ったということです。パリ?の地下鉄駅、それもとんでもなく広大な地下駅を舞台に、暗闇に住む怪しげな青年と地上のお姫様のラブストーリーです。

 この地下駅の住人は、ジャン=ピエール・ジュネ風にいうと、下水道で暮らすトログロ団(デリカテッセン)ですね(笑。ドラムのスティックでいつもアチコチ叩いているドラマー(ジャン・レノ)、ローラースケートを履いた「ひったくり」のジャン=ルイ( ジャン=ユーグ・アングラード)、怪しげな花売り(リシャール・ボーランジェ)、黒人のボディビルダーなどなど。地上からドロップアウトして地下住人になったんでしょう。 
 この怪しい住人を取り締まるために、地下駅には派出所まであり、警部とバットマン、ロビン刑事(なんだそれ)が常駐しています。フレッドはこの地底の王国に紛れ込み、王国の住人となります。

 エレナというのも、これがけっこう怪しい。若くて美人、本人も言ってますが、金持ちに拾われて結婚したようです。お姫様ではなく人妻。で映画は、トログロ団のフレッドと人妻エレナの道ならぬ恋となります。この金持ちの旦那が、エレナとフレッドの関係を知って、部下にフレッド殺しを命じます。ギャングの親分か何かですね。

 最後に、フレッドは、エレナの旦那の放った殺し屋に殺されます。これ、「ロメオとジュリエット」ではないですか。かの名作を下敷きに、地上世界のお姫様と地下世界の王子様を登場させ、ロックに乗せて悲劇を描くリュック・ベッソン版「ロメオとジュリエット」...みたいな映画です。

ロメオとジュリエット》 《ウェストサイド物語》 《サブウェイ》
   ロメオ               トニー        フレッド ←地下駅に住むトログロ団?
   ジュリエット        マリア        エレナ  ←地上のギャング+ バットマン、ロビン刑事

 
というのが、リュック・ベッソンが描いた構図ではないかと思います。
 で、かなりシュールであるとはいえますが、これはあまりお薦めの映画とはなりません。

冒頭のカーチェイスでフレッドを追いかけていたエレナの屋敷の使用人が、フレッドをつけ廻します。


監督:リュック・ベッソン
出演:クリストファー・ランバート イザベル・アジャーニ

タグ:BSシネマ
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