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映画 清須会議(2013日) [日記(2014)]

清須会議 スタンダード・エディション [DVD]
 三谷幸喜の映画は『12人の優しい日本人(1991)』『ザ・マジックアワー(2008)』『ステキな金縛り(2011)』に続いて4本目。三谷幸喜は舞台の脚本家出身ですから、脚本で見せるという映画(コメディ)を作ります。その辺りが好みです。時代劇ですが、剣戟も戦闘シーンも無し。カメラを清須城に据え、柴田勝家、豊臣秀吉、羽柴長秀などの歴史上の人物を俎上に、三谷ワールドが展開されます。

 「清須会議」とは、本能寺で討たれた信長の後継者、織田家の世継ぎを決める会議です。結果は秀吉が擁立する信長の孫(長男信忠の子)・三法師に決まり、これ以降、秀吉は天下への階段を駆け登るわけです。この結果の見えている清須会議を如何に見せるか、というところが監督、脚本家の腕の見せ所です。三谷幸喜ですからコメディー。秀吉以下をどの様に喜劇の登場人物にしてみせるか、というところが見どころです。

 清須会議は、以下の構図で始まります。

織田信孝(信長の三男) ←柴田勝家、羽柴長秀
織田信雄(信長の次男) ←羽柴秀吉
 日和見:池田恒興、遅刻:滝川一益

 まず信長の次男、三男で争われ(長男は本能寺で討ち死に)、ダークホース的に信長の孫に決まります。

三男信孝(坂東巳之助):信長ほどの人物ではないが、まずは普通の人。
次男信雄(妻夫木聡):典型的なバカ殿。

柴田勝家(役所広司):織田家家臣の筆頭、直情型の忠臣で戦場型の武将。戦国武将に必須の謀略の才能が無い。信長の妹・お市にぞっこん。
丹羽長秀(小日向文世):織田家家臣のno2、勝家と違って戦場より政治の世界が得意。単純な勝家の頭脳の役割を担う。明智光秀追討では秀吉に遅れをとる。
羽柴秀吉(大泉洋):稀代の人たらし。織田家が信孝+勝家に握られると、自分の出る幕が無くなるため信雄を押す。密かにお市に惚れている。秀吉の懐刀は黒田官兵衛。
池田恒興(佐藤浩市):滝川一益が「会議」に間に合わないため、急遽評定に参加。日和見。

 というキャラクタが会議の裏表で火花を散らします。裏に控えるのが、

お市の方(鈴木京香):信長の妹で浅井長政の妻。長政が謀反を起こしたため夫と子を秀吉に殺される。秀吉憎しで勝家を応援。後、秀吉に復讐するため、勝家のもとに嫁す。
寧々(中谷美紀):秀吉の妻。秀吉に清須城下に呼ばれ、その明るい性格で内助の功を発揮。
松姫(剛力彩芽):武田信玄の六女。信忠の妻で三法師の母親。秀吉に三法師の存在をアピールして織田家後継の地位を確保。

 男の影に女ありです(笑。で結局、

勝家:長秀の裏切りで信孝擁立は失敗。但し、お市の方を手に入れる。
長秀:領土と脅し(光秀追討に遅れたこと)に屈っして秀吉に寝返る。近江の国を得る。
秀吉:三法師を擁立し、織田家を実質支配。
恒興:領土でつられ秀吉につく。摂津の国を得る。

 日本史の復習のような感想文になってしまいました。どこが面白いかというと、やはりこの4人の性格付けと、それを演じた俳優の個性ではないかと思います。朴訥な勝家は、お市の方の機嫌を取ろうと四苦八苦。一見知謀の塊のようですが、秀吉に領地で釣られて揺れる長秀。勝家に付いたり秀吉に付いたり、どこまでも優柔不断で日和見の恒興。3人が人の良さを見せる中、秀吉は持ち前の人たらしと機智を駆使し、時に敵の懐に飛び込む豪胆も見せながら勝利を掴みます。過剰な演技となるぎりぎりのところで踏みとどまる大泉洋の演技はなかなかのものです。単純な私などは、秀吉はきっとこんな人だったんだろうと、三谷マジックにコロリと引っかかってしまいました。

監督:三谷幸喜
出演:役所広司 大泉洋 小日向文世 佐藤浩市

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