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映画 スティーブ・ジョブズ(2013米) [日記(2015)]

スティーブ・ジョブズ  [DVD]
 macもipodもiPhoneも持っていません、使ったこともありません。パソコンを始める時に、appleⅡが欲しかったのですがとても子持ちのサラリーマンが手を出せる価格ではなくなく、macを買おうか云うときにもwindows95が出て結局fujituのFMV。スマホもまた、iPhoneを買いそびれてandroid。appleと私は常にすれ違いの関係です。
 appleⅡとmacとiphoneを世に出し、貧乏人の私を袖にし続けたスティーブ・ジョブズは、如何なる人物なのか?(笑。

 ストーリーはWikipediaを見る限り、ジョブズとウォズニアックのエピソードを忠実にたどっているようです。ジョブズがアタリでブロック崩しの基盤の部品減らしを頼まれ、ウォズに依頼して報酬をピンハネするエピソード、appleⅠの発売とapple社の創立、appleⅡのヒット等などです。

 ジョブズとウォズのコンビは、開発をウォズ、経営をジョブズという分業体制です。映画を見ている限り、ジョブズは製品のコンセプトと会社経営に能力を発揮したようです。ジョブズは、家庭用コンピュータの普及を見抜き、ウォズが開発したappleⅠを誰もが使える家電appleⅡへと変身させ成功をおさめます。
 本題はここから。
 株式を上場し、ジョブズは2億ドルを手中にしますが、「無能」な創業メンバーをストックオプションも与えずappleから放り出します。appleⅡの後継機 Lisaのフォントが気に入らず、全面的な改修を命じ、応じない社員を馘にします。ヴィジョンを共有できないという理由で、appleで一番優秀なプログラマーを追い出したのです。成功者の栄光に裏付けられたジョブズは、周りに自分の美意識と哲学を押し付け理解できない者を排除します。
 極めつけは、恋人の妊娠です。あれこれ理由を付けて身重の恋人を追い出します。後に認知したようで、生まれた娘の名前はLisa、appleⅡの後継機の名前です。
 唯我独尊で身勝手なジョブズは、絶対に付き合いたくない人物です。

 マイコンオタクのウォズが趣味で作ったワンボード・コンピュータから今日のパソコン社会の到来を予測し、ビッグ・ビジネスに発展させたジョブズの功績は讃えられて当然でしょうが、映画でも、見本市会場にappleⅡと同様にコモドールのPETやタンディのTRS80が並んでいますから、何もジョブズだけがパソコンの産みの親ではないように思うのです。
 その後IBMが市場に参入してPC/AT互換機が世界の標準となり、市場の安いパーツで組み立てたリーズナブルな価格のパソコンが出回わり、windowsを載せてはじめてパソコンの時代が到来したわけです。iPhoneとandroidも同じ位相です。
その間、appleはLisaの開発に失敗し、Macintoshの不振から赤字に陥り、ジョブズはappleを追い出されたり舞い戻ったりの始末。
 私など、IBMと、ジョブズから泥棒呼ばわりされたゲイツのおかげで、PCの世界に入れたわけです。唯我独尊で身勝手なジョブズの何処が偉いんだろうと思います。

 この映画の救いは、というかジョブズを相対化する視点は、ウォズニアックの存在です。好きなことができればいいとhpを辞めてappleに参加し、天職のようにappleⅡを開発します。そこには、ジョブズのような野心や打算はありません。apple社が成功をおさめても、ウォズは、ガレージでワンボード・マイコン製作のためにハンダ鏝を握った頃の情熱、仲間のためにクールなオモチャを作るという情熱を忘れません。ウォズは、ジョブズが「製品」の虜となって 「人間」を忘れていると告げてappleを去って行きます。

 この映画は、パソコンという妄執に憑りつかれたひとりの男の、栄光と挫折の物語です。ビジネスの栄光とともに人間としての挫折を描く筈が、ジョブズの成功に圧倒されて「2012年9月 アップルは株式時価総額で世界一になった」というエンディングとなります。この映画の限界です。

 appleについてネットで情報を漁っていて分かったのですが、ニュートン(1992)もPDAという言葉も はジョン・スカリーの発案だそうで、パソコンともうひとつの柱としてニュートンはリリースされたのだそうです。ニュートンは、高価であったことと、携帯端末としては大きすぎたことで失敗しています。このニュートンが、技術の進歩によって17年後に甦ったものがiPhoneかもしれません。

 で映画としてお薦めかというと、 PCオタクや macファン以外には面白くないと思います。ストーリーそのものが、目の前のappleとジョブズの成功に圧倒され、それに阿っているためです。10年後の『スティーブ・ジョブズ 』に期待したいものです。
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スティーブ・ジョブズ年表 (合ってます?)
1955:誕生
1976:appleⅠ、apple社創業
1977: appleⅡ
1978:Lisaの開発
1979: Macintoshの開発
1980:株式上場
1981:Next設立、ジョブズ干される。 Macintoshの開発に参画、スカリーを引き抜く
1983:スカリーがCEO
1984: Macintosh発売、apple赤字、IBM、PC/AT互換機
1985:ジョブズ解任、ウォズ退社
1986:ピクサー社設立
1988: Next発表
1996: Next社をappleが買収
1997:ジョブズappleに復帰、マイクロソフトと提携
2000:CEO
2001:OSX、iTune、iPod発表
2003:発病
2007:iPhone発表
2011:死去

監督:ジョシュア・マイケル・スターン
出演:アシュトン・カッチャー  ジョシュ・ギャッド  ダーモット・マローニー  マシュー・モディーン

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コメント 2

ktm

ジョブスはゲイツとも親交があり、Apple が Microsoft と対立していた時でもゲイツのパーティーに行ってたりしています。 この二人の関係も面白いですが、どっちも友人にはしたくないですね。 ゲイツは強欲で技術を盗むのが上手いですから。

by ktm (2015-03-10 23:09) 

べっちゃん

ジョブズがゲイツに電話して、GUIを盗んだ泥棒だと罵倒するシーンがあります。DOSを買ってきてIBMに売りつけたり、ゲイツは商売が上手いですね。
by べっちゃん (2015-03-12 20:52) 

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