映画 赤線地帯(1954大映) [日記(2015)]
売春防止法施行前夜の、吉原の売春宿「夢の里」を舞台に、そこで働く娼婦たちを描いたものです。毒々しいネオンと路地の客引きの映像からイメージからすると、遊郭というよりまさに「赤線地帯」です。
ゆめ子は、娼婦であることを息子に非難され、絶縁を言い渡されて発狂。ハナエの夫は、将来に絶望して自殺未遂。より江は同僚娼婦の祝福を受けて故郷で結婚しますが、夢破れて吉原に舞い戻ります。ミッキーは、神戸の父親が訪ねてきて放蕩の父親に反発した家出だったことが明らかになります。やすみは、客をそそのかし会社の金を貢がせ、吉原からの脱出に成功します。
そうかも知れない、さもありなん、という5人の娼婦に、九州の炭鉱から売られてきたしづ子が加わります。しづ子は、いよいよ客を取ることになり、恐る恐る柱の陰から客引きをするシーンで幕。しづ子には、ゆめ子、ハナエ、より江、やすみ、ミッキーのいずれかの運命が待ち受けているいるわけです。しづ子の登場によって、溝口健二の女性観が明らかになります →女は生まれながらにして娼婦であると、...誤解ですねぇ(笑。
洲崎を舞台にした「赤線地帯」の映画に、川島雄三の『洲崎パラダイス赤信号(1956)』があります。一度須崎を抜け出した元娼婦(新珠三千代)が須崎に舞い戻り、赤線地帯の一歩手前で赤信号にひっかかると云う映画で、こちらの方がよほど面白いです。川島雄三は溝口の『赤線地帯』を見て、俺ならこう作る、となったのでしょうか。
京マチ子以下豪華女優陣以外、これと言って見るところの無い映画です(だと思います)。
監督:溝口健二
出演:若尾文子 三益愛子 町田博子 京マチ子 木暮実千代 進藤英太郎 沢村貞子
出演:若尾文子 三益愛子 町田博子 京マチ子 木暮実千代 進藤英太郎 沢村貞子
タグ:BSシネマ
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