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映画 アパートの鍵貸します(1960米) [日記(2015)]

アパートの鍵貸します [DVD]
 『麗しのサブリナ』『情婦』の名匠・ビリー・ワイルダーのコメディーです。

 基本は、同じ会社に勤める男女のラブ・ロマンス、社内恋愛です。恋愛がコメディーになるのは、「すれ違い」と相場が決まっています。すれ違いの原因がタイトルの『アパートの鍵貸します』ということで、この映画のミソです。

 保険会社に勤めるバクスター( ジャック・レモン)は、 自分のアパートをオフィスラブの場として上司に提供し、引き換えに人事考課に手心を加えて貰っていると云うサラリーマン。「顧客」は4人の課長。4人のスケジュールを調整し、自分は残業と称して自宅に帰るのは毎日午後8時以降。顧客の情事が長引けばバクスターはアパートから閉めだされるという悲喜劇が描かれます。バクスターもバクスターなら、オフィスラブが日常化する会社も会社。非現実的な設定ですが、コメディですから素直に笑わせてくれます。「アパートの鍵」を象徴と考えれば、現代でも十分通用する話で、こういう輩はいますねぇ。

 バクスタードの人事考課を怪しんだ部長のシェルドレイク(フレッド・マクマレイ)はアパートの鍵貸します」のカラクリを突き止め、課長補佐昇進を条件にオレも一枚乗せてくれということになります。上司に媚を売って出世をしよう云うバクスターが、フラン(シャーリー・マクレーン)に恋したことでドラマが始まります。バドのアパートに忘れられたコンパクト(化粧道具)がフランのものであることが分かり、愛しいフランはシェルドレイクの「女」だったと云うわけです。

 シェルドレイクは離婚をチラつかせてフランをつなぎとめ、フランは彼の秘書から彼が何人もの社員を毒牙にかけ、秘書もそのひとりであったことを聞きます。別れる決心をしたフランは、最後のデートの後、バクスターの部屋で睡眠薬自殺を図り、アパートに帰ったバクスターはフランを発見します。これがXmasイヴの話ということなので、サンタがフランをバクスターの元に運んで来たという設定です。

 バクスターの介護でフランは一命を取り止め、めでたしメデタシとなるのかと思ったのですがそうはなりません。バクスターはジェルドレイクにシッポを振ってこの醜聞を収め、今度は部長補佐に大出世。
 秘書がジェルドレイクの奥さんにすべてをバラしてジェルドレイクは離婚、晴れてフランと結婚することになります。なりますが、サンタが運んで来た恋人ですから、新年のスタートとともに、バクスターもフランも新しい人生に歩み出すことになります。

 いかにもありそうな話に仕立て上げるビリー・ワイルダーの腕、冴えないサラリーマンの悲哀を演じるジャック・レモンの演技で、嫌みの無いコメディに仕上がっています。ジャック・レモンは、ドタバタ・コメディー『お暑いのがお好き』よりこちらの方がはるかにいいです。

監督・脚本・制作:ビリー・ワイルダー
出演:ジャック・レモン シャーリー・マクレーン フレッド・マクマレイ

【当blogのビリー・ワイルダー】
情婦(1957)
アパートの鍵貸します(1960)

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コメント 2

Lee

たった今BSプレミアムで録画した当映画をみました。
さすがワイルダー、2転3転最後まで飽きさせませんね。
乱痴気パーティーは「ティファニーで朝食を」にも出てきますが
当時のNYはこうだったんでしょうか。
モノクロの画面とソフトなBGMが緊張感を和らげてしゃれた感じに仕上がっています。

by Lee (2015-09-06 00:48) 

べっちゃん

ビリー・ワイルダーは『情婦』がお薦めです。是非御覧ください。
by べっちゃん (2015-09-06 07:19) 

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